月最終話 悪戯な煌めき

そして迎えた、プリズムショー当日…-。

始まる前にコウジさんに声をかけようと、控え室に向かうと……

??「オー!!」

〇〇「……?」

扉の向こうから大きな掛け声のようなものが聞こえ、立ち止まる。

(なんだろう?)

するとすぐに、控え室からコウジさんが出てきた。

神浜コウジ「〇〇さん! 来てくれたんだね」

〇〇「はい。頑張ってください、って一言伝えたくて……」

ショーの前のコウジさんは、なんだかとてもワクワクしているように思えた。

神浜コウジ「わざわざありがとう。 今日のプリズムショー、楽しみにしてて。必ず君も笑顔になってくれると思う」

〇〇「はい。応援してます!」

神浜コウジ「うん。じゃあ、またステージで」

〇〇「はい……!」

Over The Rainbowの仲間と一緒にステージへ向かうコウジさんを見送る。

(楽しみだな……)

不思議の森が生んだ、あのメロディーを思い出す。

今から始まるステージに、私の期待は高まるばかりだった…-。

……

観客席に戻ると、場内はすでに満席で……ものすごい熱気が渦巻いていた。

(こんなに大勢の人が見に来てくれてるんだ……)

(コウジさん、頑張って……!)

期待と興奮に胸を熱くし、プリズムショーの幕開けを待っていると…-。

〇〇「!」

音楽が消え、静寂が場内に訪れる。

そして…-。

神浜コウジ「Over The Rainbowプリズムショーへようこそ!!」

観客「わーーーー!!!」

コウジさんの声が響いた瞬間、夜空に変わりライトの光がステージをまばゆく照らす。

その中心に、Over The Rainbowの皆が立っていた。

〇〇「コウジさん!!」

他のお客さんの声に掻き消されないよう、私も力いっぱい彼に声援を送る。

神浜コウジ「今日の最初の曲は、不思議の国で感じた楽しさをもとに作りました! どうぞ聞いてください。そして一緒に、楽しみましょう……!」

流れ始めた音楽に合わせて、3人がステージいっぱいにダンスをする。

軽快な悪戯猫のステップは、Over The Rainbowの皆で考えたもの……

心弾むようなかわいらしいダンスに、観客席からは黄色い声が上がる。

(楽しい……!)

皆と同じように、私も3人の動きに合わせ手を大きく振った。

神浜コウジ「いくよ……はぁっ……!」

コウジさんがステージを蹴り上げ、大きく跳び上がる。

神浜コウジ「胸キューン……体験っ! キュンキュンキューン!」

大きな煌めきに包まれて、コウジさんの周りが輝き出す。

(すごい……!!)

流れるようなジャンプやダンスで場内はさらにヒートアップし、熱気が溢れる。

その時…-。

神浜コウジ「……っ!」

コウジさんのギターが、ひときわ大きな音を奏でた。

瞬間、スケートで体を回転させたかと思えば、そのまま大きく跳び上がって……

(また、プリズムジャンプ……!)

高くまで跳んだ瞬間…―。

神浜コウジ「あれっ……?」

神浜コウジ「わぁ……すごいね!」

辺りに紫の煌めきが広がった時、コウジさんの頭にねこ耳が生まれた。

(……ねこ耳!?)

(もしかしてこれも……チェシャ猫の悪戯?)

驚いているのは、私や観客だけではなく、コウジさんも一緒のようで……

神浜コウジ「……」

その驚きすらも楽しみながら、コウジさんは観客席の皆に呼びかける。

神浜コウジ「不思議の国がくれた力なのかな……? ふふっ、すっごく楽しいよ。 皆も、楽しんでる?」

ひときわ大きな歓声が湧き上がる。

皆に手を振ったコウジさんは、空中でくるんと一回転して…-。

観客1「きゃー、かわいい!」

観客2「コウジー!!」

いつの間に現れたのか、コウジさんの長いしっぽが大きく揺れる。

思いがけない変身をものともせずに、コウジさんは笑顔でジャンプを続けた。

神浜コウジ「どんどん行くよ。さあ、この手を取って。一緒に行こう!」

その背には、にんまりと笑う猫の顔が描かれていた。

次々と驚くようなことが起こり、場内はその度に湧き上がって……

不思議で素敵なプリズムショーは、大成功となった…-。

……

大きな拍手が、場内に響く。

鼓動は速く、興奮は冷めやらぬまま……胸の中に感動が渦巻いている。

神浜コウジ「今日は本当にありがとうございましたー!」

Over The Rainbowの皆が、客席に向かって手を振る。

(……コウジさんはすごいな)

(こんなに大勢の人が楽しそうに、笑顔になってる)

心を輝かせるようなキラキラとした思いが、弾けるように…-。

〇〇「素敵なプリズムショーを、本当にありがとう!」

私は思わず叫び出していた。

観客1「Over The Rainbow最高―!」

観客2「素敵な時間をありがとうー!」

いつまでも拍手と声援がやまず、人々は大きな感動に包まれる。

Over The Rainbowが見せてくれたプリズムショーは、私にも夢世界にも……

不思議と煌めきをもたらしてくれたのだった…-。

おわり。

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