月7話 探し続けた獲物

ハルが万病に効く霊薬を求めて、ボルケウスを倒しに向かって数日…―。

一向に帰る気配のないハルが心配で、私は病も厭わずに彼を探しに出た。

ボルケウスが生息するという森には、様々な植物が鬱蒼と生い茂っていた。

(ハル……どこにいるの?)

必死に彼の姿を探すも、病魔に侵された体はあまりに不自由だった。

○○「……っ」

高熱に眩暈を感じて、ついにその場にしゃがみ込んでしまう。

(だめだ、どこにもいない……)

(このままハルに会えなくなるなんて、絶対に嫌……でも……)

一度、不安が胸に広がってしまえば、悲観的な未来が次々に浮かび上がる。

――その時だった。

○○「!?」

どこかから、獣の唸り声が地鳴りのように響いていた。

(嘘……この近くに何かいる!?)

全身からさっと血の気が引いた。

木陰に隠れるようにして、森の奥を見れば…―。

○○「……っ!!」

そこには人の二倍はあるだろう巨大なモンスターの姿があった。

羽根と太い尾を持った、見たこともない4本脚のモンスターだ。

(……怖い!)

圧倒的な恐ろしさに足が竦み、体が震え出す。

しかしその時、運の悪いことにそのモンスターと目が合ってしまった。

○○「……!」

けたたましい咆哮を上げて、モンスターが私めがけて突進してくる。

(助けて、ハル…―!)

固く目をつむった時だった。

ハルディーン「○○っ!!」

○○「え!?」

鋭い金属音が響き、私の前に黒い影が躍り出る。

ハルの剣が、モンスターの一撃を受け止めていた。

○○「ハルっ!!」

会いたかったその人の姿を見て、涙が浮かんできてしまう。

ハルディーン「バカ野郎!そんな体で無茶しやがって!」

ハルは私の体を軽々と抱えて、モンスターの目元を狙い鋭い一撃を繰り出す。

モンスターが一瞬たじろいだ隙に、彼は私を少し離れたところにある岩陰へと下した。

ハルディーン「ここから動くな。オレは今からアイツを倒す」

○○「そんな!危ないよ、一緒に逃げよう!?」

ハルディーン「できるかよ!ここ数日探し続けてようやく見つけたんだぞ!?」

○○「えっ、ならあれが……ボルケウス…―」

衝撃に言葉を失う。

その瞬間、ハルは二本の剣を両手に構えて、ボルケウスの前に飛び出した。

ハルディーン「来い!オレが相手になってやる」

ボルケウスは凄まじい咆哮を上げて、ハルに襲い掛かる。

しかし彼は生い茂る木々を味方につけて、華麗な動きで攻撃を避けては、鋭い連撃をボルケウスに叩き込む。

ハルディーン「そこだっ!!」

二本の曲刀を巧みに使った攻撃が、ボルケウスの鼻先を切り裂いた時…―。

〇〇「ハル、逃げてっ!!」

ハルディーン「……っ!?」

追い詰められたボルケウスは、ハルに向けて、大きな尻尾を振り下した――。

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