月7話 冷たい視線

すっかり暗くなった頃・・・-。

城に到着し、食堂へ向かうと、王妃様が私達の帰りを待ち構えていた。

イリア「申し訳ありません、母上。遅くなりました」

王妃「イリア、どちらへ行っていたの?」

イリア「街へ出ておりました」

王妃「そうですか・・・・・・」

王妃様の視線が私に向けられる。

一瞬だったけれど、そこに冷たい怒りが含まれているような気がした。

王妃「夕食の準備ができております。どうぞお座りください」

(・・・・・・怒らせてしまったかな)

王妃様の様子に胸がざわめくのを隠し、私は椅子に腰を下ろした。

王妃「・・・・・・それで、今日はどのようなことをしたのですか?」

イリア「街を歩いてとても多くのことを学びましたが・・・・・・。 特に驚いたのは、あのジェラートです」

イリアさんが、私に微笑みかける。

街での楽しい気持ちを思い出して私も口元をほころばせたけれど、王妃様の冷たい眼差しを感じ、その気持ちはすぐに萎んでしまった。

王妃「そう・・・・・・楽しそうで何よりですね。 けれど、イリアを連れ回すようなことは、二度としないでいただけませんか。 この子は、我が国の大切な宝なのです」

王妃様の冷たい言葉が私に向けられる。

(お待たせしてしまったし・・・・・・王妃様のお怒りも、当然だよね)

○○「申し訳あ・・・-」

頭を下げようとしたその時、イリアさんの手が私の肩に置かれた。

イリア「母上、なぜ○○様に言うのですか?」

王妃「それは・・・・・・ねえ・・・・・・」

戸惑い口ごもる王妃様に、イリアさんは首を傾げた。

イリア「連れ出したのは私です。責めるなら私に言ってください」

王妃「・・・・・・」

それでも王妃様は不満げに私をちらりと一瞥すると、

ため息を吐いてフォークとナイフを置いてしまった。

それきり、夕食の場が静まりかえる。

(・・・・・・きちんと、謝らないと)

○○「申し訳ありませんでした」

イリア「○○様・・・・・・!」

私が頭を下げると、王妃様は満足そうに微笑んだ。

王妃「もういいのですよ。以後、気をつけていただければ」

言葉とは裏腹に、王妃様は氷のような瞳を私に向けていた・・・・・・

・・・

・・・・・・

食事を終え、イリアさんが私を部屋まで送ってくださった。

イリア「○○様、今日はありがとうございました。 そして、本当に申し訳ありませんでした。貴方にご迷惑をかけてしまいました」

イリアさんはそう言って、肩を落とした。

○○「すみません。せっかくかばっていただいたのに」

イリア「私の軽率な行動のせいで・・・・・・」

○○「いえ! 私すごく楽しかったです。 案内してくださって、本当にありがとうございました」

にっこりと微笑むと、イリアさんも優しく笑ってくれた。

イリア「果たしてあれで案内と言えたのかどうか・・・・・・でもそう言っていただけて嬉しいです。 私も楽しかったです。貴方といると、本当に楽しい」

噛み締めるようなイリアさんの言葉に、さっきまでの張り詰めていた心が溶けていく。

イリア「明日こそ、あの丘へ行きましょう」

イリアさんの瞳が、美しい風景に思いを馳せていた時のようにキラキラと輝く。

○○「はい・・・・・・!」

青い瞳の魔法にかけられたかのように、私も笑顔になっていた・・・-。

 

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