月5話 一番大切なもの

穏やかな音楽が流れる店内で……私達の間に沈黙が横たわる…-。

何かを考えるように黙り込んでいたシュニー君は、ふと顔を上げておじいさんを見つめた。

シュニー「騎士の精神って……何?」

おじいさん「ふむー……一言では説明できませぬなぁ」

シュニー「何それ。じゃあ、偉そうなこと言わないでよ」

おじいさん「ほっほっほ……ではシュニー様、あなたの一番大切なものはなんですか?」

シュニー「……一番大切なもの?」

突然の問いに、シュニー君はきょとんと目を丸くする。

でもそれからすぐに、自信満々の表情で顎を上げた。

シュニー「そんなの決まってるでしょ。 高潔なる雪の一族として、スノウフィリアを守る。それが一番大切なことだよ」

おじいさん「ほっほ、さすがは国を背負う立派なお方……花誓式が楽しみですなぁ」

シュニー「……?」

自分の言葉に相手が感嘆の声を上げることに慣れているせいか、おじいさんの反応に、シュニー君は不思議そうな顔をしたまま目を瞬かせる。

そんなシュニー君を楽しげに見つめ、おじいさんが席を立った。

おじいさん「いやはや、お邪魔してしまいました」

おじいさんは丁寧に頭を下げると、ゆっくりとカフェを出ていく。

シュニー君はその背中を見つめながら…-。

シュニー「……変なの」

ぽつりとそうつぶやくと、頬を膨らませながら飲みかけの紅茶を一口すすった…-。

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