月9話 困り顔

ディオン「〇〇……好きだ」

私の髪に口づけを落とすディオンさんの頬に、長いまつ毛の影が落ちる。

そっと唇を離すと、彼の美しい瞳が私を見据えた。

ディオン「〇〇…それは……俺のことが好きだということでいいな?」

〇〇「え……」

ディオン「どうなんだ」

真剣な眼差しを、私は真っ直ぐに受けることしかできない。

(ドキドキして……答えられない)

ディオン「まあ……いい。後でじっくりと聞いてやる」

そう言うと、ディオンさんは私をふわりと抱き上げ、部屋の中へと戻った。

〇〇「ディ、ディオンさんっ!?」

横抱きにされ運ばれる私は、他にどうすることもできず、ディオンさんの首にすがる。

ディオン「いい気分だ。何ならずっとこうしていようか」

〇〇「え……っ」

ディオン「ああ、嫌なら降ろしてやろう」

そう言ってディオンさんが私を降ろしたのはベッドの上で……

〇〇「や……っ」

私はそれに気がつくと、必死にディオンさんの首にしがみついた。

ディオン「もう遅い」

ふんわりと私をベッドの上に降ろすと、ディオンさんは私を見下ろして、からかうように微笑む。

(意地悪……っ)

頬が染まっていき、私はふいと顔を背けた。

ディオン「困った。 なつかない猫は初めてだ」

ディオンさんは、私の鼻をそっとつまむ。

〇〇「ん……っ」

何だか恥ずかしくて、私は瞳を瞬かせた。

ディオンさんの横顔に、柔らかな日差しがそそいでいる。

(困った顔……初めて見た)

(なんだか、嬉しい……)

(……愛しい)

私は、そっとその横顔に口付けを落とす。

その時……

ディオン「……〇〇」

不意に、ディオンさんの瞳が妖しく光った気がした。

悪魔に魅入られるように……私はその眼差しに動けなくなった…-。

<<月8話||月最終話>>