月SS 二人だけの……

○○の部屋のクローゼットで、彼女の唇を奪った後…―。

○○「ディオンさん!?あの……」

ディオン「黙ってろ」

掃除をしていたメイドが部屋から出ていく音を耳にするや否や、俺はクローゼットを開け、○○の体を抱き上げた。

(まさか、お前から俺を求めてくれるなんて思わなかった。 こうなった以上、もう……)

ディオン「もう、止められないからな?」

○○をそっとベッドに下ろし、そのまま覆い被さる。

○○「ディオンさ…―」

ディオン「『さん』なんて、もういらない。 ディオンと呼べ」

俺はそう囁き、再び○○の唇を奪う。

そして彼女の体に、ゆっくりと指を滑らせた。

○○「……っ」

ディオン「我慢するな。もうここには、俺とお前しかいない。 お前のすべてを、俺にさらけ出せ……」

彼女の震えるまぶたや、すっかり熱くなった体に、キスを落としていく。

二人きりの部屋には、『ディオン』と甘く呼ぶ声が何度も何度も響いていた…―。

……

数日後…―。

ディオン「○○……」

ベッドの上……ぼんやりとする意識の中で、俺は愛しい女の温もりを求めて腕を伸ばす。

そしてその柔らかな体に腕を絡めた後、自分の方へと引き寄せた。

(温かいな。 ずっとこのまま、この幸せに溺れていたい……)

数日前に互いの気持ちを確かめ合って以来、俺は片時も彼女を離そうとしなかった。

だが……

(……ん?)

○○の体に回していた腕がそっと解かれ、温もりが遠ざかっていく。

目を開けると、彼女はベッドから下りてどこかに行こうとしているようだった。

(○○……!?)

俺はとっさに起き上がり、彼女の手首を掴んだ。

ディオン「……どこに行く?」

○○「ディオン……私、そろそろ行かなくちゃ」

彼女は驚いたように俺の方へと振り返ると、言い辛そうにつぶやく。

(行く?どこへ……? 嫌だ、俺は離れたくない……!)

ディオン「どこにも行かないでくれ……」

どうしようもない寂しさを言葉に変え、○○に訴える。

しかし彼女は、困ったように俺を見つめ返すだけで……

(そんな顔が見たいわけじゃない……。 俺はただ、傍にいて欲しいだけなんだ)

○○「や……っ」

テーブルに彼女を押し倒して腕を押さえつけた後、俺は胸の中の想いを彼女へと囁きかける。

ディオン「俺の過去を受け入れてくれたのは、お前だけだ」

(後にも先にも、お前だけなんだ。だから……)

ディオン「一人に……しないでくれ……」

(俺はもう、お前の温もりを知ってしまった。 今さらそれを失うのは耐えられない……。 頼む、行かないでくれ。このままずっと、俺と……)

想いを込めながら、俺は彼女の鎖骨のくぼみに唇を落とした。

○○「……っ」

唇を首へ、顎へと這わせていき、彼女の唇にキスをする。

同時に、彼女の内ももに指を滑らせると……

○○「あ……っ」

○○から甘い声が漏れ、俺の欲望の火が煽られる。

(俺から離れる気など二度と起こさせないぐらいに……。 お前の望むままに、たっぷりと可愛がってやるよ。 このまま、俺の腕の中に閉じ込めてやる……)

俺は、そっと彼女の胸元へと手を伸ばす。

すると、次の瞬間…―。

○○「お願い…ディオン、もう私……」

懇願するような声に、胸の奥の方が強く締めつけられる。

だが……

(……我ながら、卑怯だとは思うが。 やめてやることなんて……このままお前を行かせることなんて、できない)

ディオン「お前がいれば、他に何もいらない。 大事にするから。 ○○……」

○○を必死に繋ぎ止めるように、限りなく甘い声で囁く。

すると、彼女はわずかに考え込むような素振りを見せたものの……

(……それが返事で、いいんだな)

体の力を抜いて瞳を閉じる彼女に、抑えきれないほどの喜びが溢れ、俺は思わず、彼女の体をきつく抱きしめた。

ディオン「これからは、お前だけを大切にする。 だからお前も、俺だけを見ていてくれ……」

○○「ディオン……」

そっと頷く○○にキスを落とした後、俺は彼女の体を抱き上げてベッドへと戻る。

そして月明かりが見守る中、飽きることなく彼女を求め続けたのだった…―。

おわり。

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