月最終話 幸せなプレゼント

数えきれないほどの光の粒が、色彩豊かに瞬きを繰り返している…―。

ウェルガー「綺麗だな……」

イルミネーションの色が変わる度に、ウェルガーくんの嬉しそうな声が耳に響いた。

ウェルガー「皆も、きっと大切な人と過ごしてるんだろうな」

身を寄せ合って、イルミネーションを楽しんでいるカップル達の姿が目に入り……

〇〇「うん……そうだね」

(『皆も』ってことは、私達も……?)

ウェルガーくんの何気ない言葉に、肌に触れる空気の冷たさも感じないほど、頬が熱くなっていく。

ウェルガー「もう少し、歩こうぜ」

頬笑みかけてくれるウェルガーくんに、私は小さく頷いた…-。

……

そうして、美しく彩られた街を並んで歩いていると……

ウェルガー「ここ、なんか落ち着くな」

街外れにある広場には人の姿がなく……雪の上についた足跡も、まばらだった。

ウェルガー「疲れただろ? ちょっとここで休んでくか」

そう言うなり、ウェルガーくんは近くにあるベンチの雪を払ってくれる。

その時だった。

〇〇「……あれ?」

鼻先に何か冷たいものが落ち、私は思わず空を見上げた。

〇〇「雪……?」

空から、真っ白な雪が音もなく街に降りてくる。

ウェルガー「わあ……!」

ウェルガーくんは嬉しそうに声を上げると、広場の中央に向かって走り出した。

(あ……)

繋いだ手を離した途端、失った温もりを名残惜しく感じる。

けれど…-。

ウェルガー「見ろよ、すっげえ綺麗だな!!」

イルミネーションの光によって幻想的に彩られる雪が、ひらひらと舞い落ちる中……

ウェルガーくんは、まばゆいほどの笑みを浮かべた。

その笑顔を見ているうちに、胸に温かさが広がっていく。

(ウェルガーくん、サーカスを見てる子どもみたい……)

彼らのクリスマス・サーカスを観た子ども達の笑顔が頭をよぎり、とびきりに笑顔を前に、私の心も弾んでいく。

〇〇「そんなに走ったら危ないよ」

ウェルガー「へへっ! 大丈夫だよ! こんな綺麗なのに、じっとしてなんかいられるかって! ほら、お前も早く来いよ!」

〇〇「うん」

私は小さく笑みをこぼした後、雪の中を駆け回るウェルガーくんの元へと向かう。

その時…-。

ウェルガー「うわっ!」

〇〇「ウェルガーくん!?」

柔らかな雪が、足を滑らせたウェルガーくんを優しく抱きとめる。

〇〇「ウェルガーくん! 大丈夫?」

私は慌てて彼に駆け寄った。

すると……

ウェルガー「この雪って、サンタからのプレゼントかもしれねえな……」

〇〇「え……?」

ウェルガーくんは雪の上に寝転んだまま、ぽつりとつぶやく。

その瞳は、雪が舞い落ちてくる空へと向けられていた。

ウェルガー「だって……お前って、今まで出会った誰よりもいい奴だからさ。 だから、こんな綺麗な景色が見られたんだ。 『最高のプレゼントを』って、サンタがくれたんだぜ。きっと」

(ウェルガーくん……)

〇〇「それは違うよ」

雪に身を預けるウェルガーくんに、そっと手を差し出す。

〇〇「この雪は、ウェルガーくんが頑張ったから贈られたんだと思う。 ウェルガーくんは『いい子』だから」

ウェルガー「……」

見開かれたウェルガーくんの赤い瞳に映るものは、手を差し出す私の姿で……

それが、不思議なぐらい嬉しく感じられた。

ウェルガー「へへっ。やっぱ、優しいな。お前」

私の手を握ると、ウェルガーくんはゆっくりと立ち上がる。

ウェルガー「なあ。来年のクリスマスも、きっと今みたいに過ごせるよな?」

〇〇「うん。きっと……。 来年も雪が降るといいね」

ウェルガー「降るよ。だって、サンタはいい子にプレゼントと幸せを届けてくれるからな。 お前が傍にいてくれる限り……また、同じ景色を見られるよ」

私はウェルガーくんの胸に力強く引き寄せられた。

私達を包み込むように、光と雪が織りなすショーは続き……

ウェルガーくんの胸の中で、私はこの上ない幸せを感じていたのだった…-。

おわり。

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