月最終話 あったかい心

ディナーを堪能してレストランを出ると、すっかり夜の帳が下りていた。

街はイルミネーションが瞬き、光が溢れている。

コロレ「綺麗だね……」

囁いた言葉と共に指が軽く触れたかと思うと、そっと手が繋がれる。

(っ……)

コロレ「こうしてると……あったかいね」

〇〇「……はい」

赤い顔ではにかむコロレさんにつられるように、私の頬も熱くなっていく。

コロレ「手もだけど、その……心も」

コロレさんは繋いでいない方の手で、自分の胸にそっと手を添えている。

〇〇「はい……私もそう思います」

繋がれている手にぎゅっと力が込められ、鼓動が速まった。

コロレ「向こうに大きなツリーを準備したんだ。行ってみようか」

〇〇「はい」

コロレさんに連れられ、街の中央にある広場に向かうと、夜空から雪が舞い降りて、辺りを少しずつ雪景色へと変えていく。

(だいぶ降ってきたな……そろそろデートも終わりかな)

少し寂しく思いながら、繋いでいた手に力を込める。

すると、コロレさんが足を止めた。

コロレ「〇〇さん」

〇〇「はい」

コロレ「実は、〇〇さんにプレゼントを用意してたんだ」

コロレさんはポケットからトランプを取り出し、何かを準備し始める。

〇〇「あの、コロレさん……?」

不思議に思いながらも見守っていると、彼は裏返したトランプを広げ、私の前に差し出した。

コロレ「この中から一枚選んで……えっと僕に見えないようにカードの数字を確認したら、また戻してくれる? そうしたら、僕がそのカードを当てるから」

〇〇「? はい」

突然始まった手品に戸惑いながらも、私はカードを一枚引き出してまた元に戻した。

コロレさんは、真剣な表情でカードを切り始める。

コロレ「あっ……」

けれどプロのマジシャンのようにはいかず、ポロポロとカードが落ちてしまう。

慌ててカードを拾ってコロレさんに渡すと、彼は耳まで真っ赤になっていた。

コロレ「ごめん。何度も練習したんだけど……」

(え……何度もって?)

驚いてコロレさんを見ると、彼は恥ずかしげに笑ってみせる。

そして一枚のカードをおもむろに抜き出すと、私に差し出した。

コロレ「貴方が選んだのは、この燃えるように赤いハートのエースですか?」

(……っ!)

〇〇「それです! すごい……」

コロレ「よかった……当たった」

心からほっとしているその姿に、思わず笑ってしまう。

(一生懸命なコロレさん……かわいいかも)

その後も何度か失敗しながらも、コロレさんはいくつか私に手品を披露してくれて…-。

コロレ「じゃあ、最後、とっておきのを披露するね」

コロレさんは意味ありげにハートのエースのカードを見せると、それに白い布を被せた。

コロレ「3、2、1……」

そう言いながらコロレさんが布を引くと……

布の下から現れたのは、かわいらしいブーケだった。

〇〇「……!」

コロレ「メリークリスマス……だったよね? これ、貴方にプレゼント」

〇〇「すごい……!」

ようやく声を上げると、コロレさんが私を見て満足そうに笑う。

ブーケに視線を落とすと、そこには小さなぬいぐるみが顔を覗かせていた。

〇〇「かわいいですね」

このブーケを用意してくれた時のコロレさんを想像すると、なんだかとても嬉しくて……

〇〇「こんなに素敵なプレゼント……ありがとうございます」

コロレ「……」

けれど、コロレさんは私を見つめたまま微笑むだけで……

〇〇「あの……コロレさん?」

コロレさんははっとしたかと思うと、首まで赤くなった。

コロレ「あ……ううん。貴方があまりにもかわいくて、みとれちゃってた」

〇〇「えっ……」

(今、かわいいって……)

いきなり告げられたその言葉に、私も顔が熱くなる。

コロレさんが改めて私へと向き直ると、花束を持つ私の手にそっと手を重ねる。

コロレ「よかった……喜んでもらえて。 この前サーカスの話をした時、僕も何かできないかなって思って……こっそり練習してたんだ。 大好きな貴方に……特別なプレゼントを贈りたかったから」

〇〇「コロレさん……ありがとうございます。すごく嬉しいです」

クリスマスを一緒に過ごしてくれて、ケーキも用意してくれて、マジックまでプレゼントしてくれる……

彼らしく優しいクリスマスの演出に胸が温かくなっていく。

(大好きです……コロレさん)

私は想いを込めて、コロレさんを見つめる。

コロレさんも私から視線を外すことなく、もう一度手を繋いでくれた。

コロレ「行こうか」

〇〇「はい……!」

イルミネーションで彩られた街のように、私の心も暖かな明かりが灯るのだった…-。

おわり。

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