月7話 微笑みのエスコート

街を少し歩いた後、コロレさんは落ち着いた雰囲気のレストランへと私を連れて行ってくれた。

(素敵……)

けれど、豪華なシャンデリアの店内を見て、途端に緊張してしまう。

コロレ「こんばんは」

店員「こんばんは。コロレ様、お待ちしておりました」

店員さんが笑顔で私達を奥のテーブルへと案内してくれる。

コロレさんは優雅な笑みを向けると、私をエスコートしてテーブルの方へと導いてくれた。

(こういう素敵なお店でコロレさんと二人で食事をするのって、初めてかも……)

(コロレさんも、いつものふんわりした雰囲気と少し違ってる……)

コロレ「ここすごくおいしくて、僕のお気に入りの店なんだ。いつか貴方と来たいと思ってて……」

〇〇「私と?」

コロレ「おいしいものを食べたり上手にケーキが作れたりすると、いつも貴方のことを思い出すよ。 一緒に楽しめたらいいのにな……って」

(そんなふうに思ってくれているなんて……嬉しいな)

やがて食前酒が運ばれてきて、グラスにスパークリングワインが注がれた。

コロレ「乾杯しようか」

〇〇「はい」

グラスを合わせると、今度は上品に盛りつけられたオードブルが並べられる。

(やっぱり緊張するかも……)

強張った手でナイフとフォークを取ろうとすると、コロレさんの手が重ねられる。

(え……?)

驚いて顔を上げると、瞳を輝かせて微笑むコロレさんと目が合った。

頬を赤らめながらコロレさんが口を開く。

コロレ「……いつもと同じで大丈夫だよ」

(私が緊張してるの、ほぐそうとしてくれてるんだ……)

優しくエスコートしてくれているのに、そのことに照れている姿がコロレさんらしい。

〇〇「ありがとうございます」

コロレさんと話しているうちに、気がついたら緊張感がほぐれ始めていた。

料理はどれもおいしくて、いつも以上にコロレさんとの会話が弾む。

やがて、デザートが運ばれてきて…-。

〇〇「おいしそうなチョコレートケーキですね」

コロレ「食べてみて」

洗練されたデコレーションのチョコレートケーキは、口に運ぶと上品な味が口いっぱいに広がる。

〇〇「おいしいです……!」

思わずそう漏らすと、コロレさんはぱっと花が咲いたような笑顔を浮かべた。

コロレ「ふふっ……実はそれ、僕が作ったんだ」

〇〇「え、コロレさんが?」

コロレ「〇〇さんの喜ぶ顔が見たかったから。気に入ってもらえてよかった」

(私のために……)

嬉しさが胸の奥から広がっていく。

私は目の前のチョコレートケーキを、もう一口フォークですくう。

〇〇「とっても優しい味で、おいしい……」

コロレ「ふふっ、よかった」

コロレさんは私の表情を見て、心から嬉しそうに言った。

(コロレさんのこんな笑顔を見ることができて……私も嬉しい)

チョコレートより甘い疼きが、胸を満たしていく……

私はこの時間がいつまでも続くようにと、密かに心の中で願っていた…―。

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