月SS 解き放たれた想い

愛の日の当日、プレゼントを渡すために○○を呼び出した俺は…―。

楓「いいから、開けてみて」

○○「はい……」

彼女は期待を隠しきれない様子で、リボンに手をかける。

そして、丁寧に箱を開くと…―。

○○「……!」

楓「へえ……」

箱の中から、たくさんのハート型の風船が飛び出す。

(ちょっと子どもじみてる気もするけど……悪くはないか)

(抑え込んでいた思いが解き放たれた……というところかな?)

その光景と、自分の気持ちが重なったような気がした。

すると……

○○「素敵……!」

(え……?)

(なんだ?箱の中に、まだ何かあるのか?)

感嘆の声を上げる彼女の隣に並び、箱を覗き込む。

するとそこには、ハート型のチョコレートがたくさん入っていた。

(なるほどね。きちんと地に足のついた想いもあるわけだ)

楓「へえ、こんな仕掛けだったんだ……ちょっと子ども騙しっぽかったかな。 でも、君は好きなんじゃない?」

○○「!どういう意味ですか…―」

楓「どう?俺の気持ち、伝わった?」

○○の言葉を遮り、顔を覗き込む。

すると彼女は、口ごもりながら言葉を紡ぎ……

○○「はい……あの、でもすごく驚きました……他の、誰かに贈ると思ってたので……」

(呆れた……他の誰かに贈るとか、この状況でそう思うなんて)

(まあでも、それを言い辛そうに言うってことは、つまり……)

楓「嫉妬……してたってことだよね?」

○○「あ……っ」

俺はゆっくりと彼女に近づくと、ぐっと腰を抱き上げてそのままベッドに運んだ。

○○「か、楓さん……!」

顔を赤く染めながら逃げようとする彼女を、後ろからしっかりと抱きしめる。

(逃がしてなんかあげないよ……)

(だって、まだ君の返事を聞いていないからね)

(さて。君は俺にどんな返事をくれるのかな……?)

楓「何慌ててるの?ふふっ……ねえ、俺がこれだけ想いを伝えたんだから、君もちゃんと返事しないとね」

彼女のうなじに唇を寄せ、からかうように囁く。

楓「返事……聞かせてくれる?」

○○「……それは……」

俺の問いに、彼女は戸惑ったような表情を浮かべる。

けれど、ほんの少しの間の後……

○○「……嬉しいです。私も楓さんを……」

その先の言葉を待つものの、どうやらそこまでが限界のようだった。

(……やれやれ、困ったな)

(そういうことをされると、さらに苛めたくなるんだけど……?)

楓「言えないの?仕方ないなあ……。 言葉で伝えるのが難しいなら、君からの贈り物でもいいけど?」

○○「あ……!私、チョコレート買えてないんです。 楓さんが、他の人にあげるんだって思ったら、買えなくなっちゃって……」

笑いながら問いかける俺に、彼女は大慌てでそう答える。

(……ああ。もう、限界だ)

(どうして君は、そんなにも可愛らしいんだろうね)

(たまに、わざとやってるんじゃないかって思うこともあるけど……)

俺はそっと、目の前の彼女へと手を伸ばす。

(君は、そんなに器用じゃないよね)

そして……

楓「そうなんだ?けど、俺が言った君からの贈り物はチョコレートのことじゃないから問題ないよ」

○○「っ……!」

楓「だって、さ……」

胸元のリボンに手をかけ、耳元に吐息を吹きかけると……

応えるように、彼女の唇から小さな声が漏れる。

その姿に、ますます嗜虐心を煽られた俺は…―。

楓「ラッピングをほどくと……相手の愛が伝わるんだもんね?」

○○「……!」

ゆっくりとじらすように、彼女の胸元のリボンをほどいていく。

(さて、この中にある想いは……)

(君の中にある愛は、いったいどんな形をしているんだろうね?)

(たっぷりと時間をかけて確かめさせてもらうよ)

甘い香りが漂う、愛の日…―。

俺は○○の中に秘められた想いの形を少しずつ確かめるように、ゆっくりと彼女の体に指を這わせていったのだった…―。

おわり。

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