月7話 幸せの光

小高い丘を下りて、私達はこの美しい島を散策する。

空から降り注ぐ陽光や、その光を反射する海の煌めき……

私とシュテルさんは、たくさんの輝きに包まれていた。

〇〇「辺り一面、きらきらしていますね」

(言葉では言い表せないくらい綺麗……)

シュテル「光は一つだけじゃない。 こんなにもさまざまな姿があるんだと、改めて思った」

シュテルさんの澄んだ瞳が、光を捉えて揺れる。

〇〇「さまざま、ですか?」

優しい笑みを湛えたまま、シュテルさんは静かに言葉を紡いだ。

シュテル「太陽や月、流れの星……自然が生み出す光。 それから、人の想いが生み出すもの……希望や夢、願いの光」

〇〇「……本当に、数えきれないくらいありますね」

シュテルさんが頷いた瞬間、星屑時計が微かに揺れた。

陽光を照らし返して、星屑時計はいつも以上に輝きを放っていて……

(光は……シュテルさんにとって、特別なものなのかもしれないな)

私にはシュテルさん自身が、光そのもののように思えた。

シュテル「その中でも、特別な光がある」

彼はゆっくりと言葉を繋ぐ。

シュテル「……君は教えてくれた。『幸せ』という名の光を。 僕は君がいたから、その光に出会えたんだ」

(え……?)

思いもしない言葉に、私は目を瞬いた。

私を映すシュテルさんの目が、まぶしいものを見るように細められる。

シュテル「君と共に過ごす時間は、何ものにも代えがたい。 ……光のようにまぶしく、そして温かい。 今日、君と一緒にいて……それをいっそう強く感じた」

シュテルさんの手のひらが、私の頬にそっと添えられた。

(シュテルさんも、同じように幸せを感じてくれていたんだ)

込み上げる想いに任せて、私もシュテルさんの手に手を重ねる。

シュテル「僕の世界を、光で満たしてくれてありがとう」

(お礼を言いたいのは、私の方なのに……)

胸が詰まって、上手く言葉が出てこない。

シュテル「……」

形にできない私の想いを汲むように、シュテルさんは小さく頷いた。

シュテル「僕は……今まで君にもらってばかりだった。 だから、これからの僕は、君に何ができるだろうかと考えていた」

〇〇「私に……?」

戸惑う私に、シュテルさんが口元を緩める。

シュテル「そう……未来を一緒に生きていく君に」

(……!)

命を削って人の願いを叶えていた彼が、今は自分の未来を見ている。

迷いなく告げられた言葉に、心が大きく揺さぶられた。

シュテル「その答えが出ずに、ずっと悩んでいたけれど。 この景色を二人で眺めて……見つけた」

シュテルさんの青色の瞳に、空から強い光が差し込む。

彼の表情は今、見たこともないような精彩を放っていた…-。

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