月7話 確かな絆

紫色の澄んだ瞳は、悲しい色を帯びていた…-。

〇〇「フレイヤさん……」

彼女の心に寄り添いたくて、そっと手を伸ばそうとすると……

フレイヤ「話しかけないで!」

フレイヤさんは、突き放すように私の手を振り払った。

ジーク「プリンセス……!」

ジークさんが、厳しい顔でフレイヤさんの腕を掴んだ。

ジーク「フレイヤ、プリンセスに謝りなさい」

フレイヤ「……っ」

唇をきゅっと噛みしめて、フレイヤさんがうつむく。

〇〇「あの……!」

うつむいていたフレイヤさんの視線が、私へと向けられた。

〇〇「……私はフレイヤさんの気持ちがわかります」

フレイヤ「……え?」

〇〇「だって、ジークさんは優しくて素敵なお兄様だし……。 それに、ただ優しいだけじゃなくて思いやりがある温かい人だと思うから」

ジーク「プリンセス……」

フレイヤ「……」

(あ、つい一人で話しすぎて……)

フレイヤ「……わかったようなこと、言わないで」

ゆっくりとフレイヤさんの腕を離すと、ジークさんは目線を合わせるように屈んだ。

ジーク「私は、フレイヤがいつか大切な人と出会うまで、兄として守ると決めています。 ですから、心配しなくていいのですよ?」

フレイヤさんは小さく頷くと、私へと視線を向ける。

その瞳にはもう影はなく、美しく輝く紫色をしていた。

フレイヤ「ごめんなさい……私、あなたにひどいことばかり言ってしまったわ」

〇〇「そんなこと……私は気にしていません」

慌ててそう言うと、フレイヤさんがふっと笑った。

フレイヤ「……あなたなら大丈夫かも」

〇〇「え……」

フレイヤ「だって、お兄様の素晴らしさをよくわかってくださっているから」

〇〇「フレイヤさん……」

フレイヤ「私も探すわ。お兄様みたいな……私だけの王子様を」

この上なくかわいらしく微笑むと、フレイヤさんはジークさんに向き直った。

フレイヤ「そんなに簡単には見つからないかもしれないけど」

ジーク「フレイヤ、あなたなら大丈夫ですよ」

フレイヤ「……本当に?」

ジーク「ええ。フレイヤの素晴らしさは、私が一番よく知っています」

ジークさんがフレイヤさんの頭を優しく撫でる。

ジーク「それまで、フレイヤのことは兄として私が守りましょう」

ジークさんとフレイヤさんは、視線を合わし微笑み合う。

その時、二人の間に確かな絆が見えた。

それは、決して他の誰も入ることができないものに思えて…-。

(私は、ここに入ることはできない……)

その瞬間、胸の奥がちくりと痛む。

(私、今……寂しいと思った?)

とても穢れた感情を抱いたように感じて……

(こんなことを思ってしまうなんて……)

私は、感じたことのない胸のざわめきにまつ毛を伏せた…-。

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