第4話 幼子の涙

物の怪神楽の奉納が終わったら、座敷童はどうなってしまうのか…ー。

はしゃぐ座敷童に視線を向けた、その時だった。

従者「カノト様、お茶をお持ちいたしました」

声が聞こえた瞬間、座敷童ははっとして、鞠を抱えたまま物陰に隠れてしまう。

その姿が見えなくなった時、従者さんが部屋に入ってきた。

従者「ご用意するのが遅くなって申し訳ありません」

カノト「ううん、大丈夫。皆、忙しいから……」

従者「はい。いよいよ明日が物の怪神楽の本番ですからね」

◯◯「あ、あの……一つ、お聞きしてもいいですか?」

従者「はい、なんでしょう?」

◯◯「神楽は、物の怪に通り過ぎてもらうためのものなんですよね?」

従者「ええ、そうですね」

◯◯「それなら、神楽が終わると物の怪はどうなるんですか……?」

カノト「え……?」

私の問いかけに、カノトさんの瞳が微かに揺れる。

事情を知らない従者さんは、にこやかな表情のままさらりと言った。

従者「よくはわかりませんが、この時期ちらほら聞く物の怪の目撃情報も聞かなくなりますし……。 おそらくいなくなるんじゃないでしょうか?」

カノト「……っ!」

◯◯「いなくなるなんて……」

従者「もともと、そのための『物の怪神楽』ですから」

◯◯「そう……ですよね」

従者「でも、どうしてそんなことを?」

不審そうに従者さんが眉を寄せる。

カノト「もう、あの子と遊べない……?」

その時、床に落ちた鞠が、私達の方へ転がってきた。

従者「え…… ?」

振り返ると、座敷童が目に涙をいつぱいにためながら立ち尽くしていた。

座敷童「……やだ……」

かすれた声でつぶやくと、座敷童はみるみるうちに泣き出してしまう。

座敷童「やだ……やだよお! おにいちゃんとあそべなくなるの、やだあ!」

次の瞬間、部屋の中の調度品が、大きな音を立てて震え始めた。

従者「こ、この力は……まさか、物の怪!?」

その声に、他の従者さん達も駆け寄ってくる。

(どうしよう……! 私が聞いてしまったから……)

従者2「物の怪だと!?」

従者3「カノト様が物の怪に襲われた!」

カノト「違う、違うよ。この子は、いい子 …ー」

座敷童「うわあああああん!」

座敷童から衝撃波のようなものが放たれ、それに当たった家具が倒れ始めてしまう。

従者「大変だ、カノト様をお守りしろ!」

カノト「待って、違うから…… !」

座敷童「うわあああああん!」

カノトさんの制止も空しく……

転がっていた鞠を拾い上げ、座敷童が駆け出した先は…一。

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