第4話 月明かりの下で……

パーティが終わり、案内してもらった部屋に入った後……

私は窓から星空を眺めながら、ミヤのことを考えていた。

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ミヤ『今、イリアは城にいないんだ』

ミヤ『帰ってきたら、紹介するからね』

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(ミヤのあの顔が、忘れられない)

ミヤの寂しそうな表情を思い出すと、胸が重くなる。

眠れそうになくて、気分を落ち着かせるため中庭へと向かった。

月明かりに照らされた中庭に、誰かがたたずんでいる。

(あれは……)

(ミヤ?)

静かに夜空を見上げていたのは、ミヤだった。

(なぜだろう、声をかけられない)

彼に気づかれないように、そっとそこから立ち去ろうとした。

けれどその時……

ミヤ「戻っちゃうの?」

ミヤの声が、私の足を止めた。

ミヤ「どうしたの? ○○ちゃん」

○○「なんだか、眠れなくて」

(ミヤのことを考えていて……とはさすがに言えないけど)

ミヤ「なら、○○ちゃんも、星空観賞しようよ!」

○○「星空?」

ミヤ「うん、この場所からが一番綺麗に見渡せるんだよ」

ミヤが両手を頭の後ろに組んで、夜空を仰ぎ見る。

ミヤ「そうだ」

そうつぶやいて、彼は柔らかい芝生の上に寝転がった。

ミヤ「この方がよく見えるよ」

隣の芝生をぽんぽんと軽くたたいて、くすりと微笑んだ。

ミヤ「おいで?」

その言葉に甘えて、そっとミヤの隣に横になる。

○○「月が綺麗……」

輝く星々の中で、大きく丸い月が、まるですべてを洗い流すように柔らかな光を降り注いでいた。

ミヤ「そうだね、本当に綺麗だ。 ……見入っちゃうね」

○○「ミヤは月が好きなの?」

ミヤ「……。 好きというより、憧れてるのかも」

○○「憧れ?」

ミヤ「月はさ、無理して輝かなくても、こうして夜には主役になれるから。 いいよなぁ……。 それに比べてオレは……」

ミヤのその声を聞いていると、胸が切なくなって……

○○「ミヤ……? どうしたの?」

月に照らされた横顔に、そっと彼に声をかける。

ミヤが、はっと私の方を見た。

ミヤ「ごめん。 今の、忘れて」

○○「え……?」

ミヤ「だーかーらー! 今のは無し! 辛気臭いオレは、オレじゃない!」

ミヤが、おどけた様子で自分の髪をくしゃりと掴んだ。

けれど、なぜだか切ない気持ちが込み上げてきてしまって……

○○「元気じゃなくても、いいんじゃないかな?」

ミヤ「え……?」

(ミヤが何を抱えているかはわからないけど)

○○「私も、ミヤの笑顔が好きだよ。 でも、いつも元気だったら、疲れちゃうよ」

(だから無理、しないで……)

もっと伝えたいのに、うまく言葉が出てこない。

ミヤ「○○ちゃん……」

ミヤが、少し驚いたような顔で私を見つめる。

ミヤ「ありがとう……ごめんね、そんな顔しないで、ね?」

ミヤは私の方に体を向け、大きな手で、優しく私の頬を包み込んだ。

ミヤ「優しい子だね、キミは……」

その手に、自分んの手をそっと重ねる。

(温かい……)

そのまましばらく、私達はお互いを見つめ合っていた…-。

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