第2話 笑顔のデート

街の中でミヤと出会った後…-。

彼は大きく伸びをすると、私に手を差し出した。

ミヤ「さて、このまま城に戻るのもなんかつまんないし……。 せっかくだから、デートしちゃおっか! 」

(デ、デート?)

ミヤが半ば強引に私の手を取る。

ミヤ「さ、行こう!」

ミヤの笑顔に、自然に胸が躍り出してしまう。

○○「……楽しみ!」

微笑んで、ミヤの力強い手を握り返す。

(不思議だね。ミヤといると、なんだか自然に笑顔になっちゃう)

ミヤ「そうだ、お腹すいた? この近くに人気のお店があるんだ。 噂だと、食べるとなんと口から本物の火を噴き出す!」

○○「え!?」

ミヤ「っていうのは、冗談だろうけど」

思わず口を押えた私に、ミヤが悪戯っぽく笑う。

ミヤ「でも、楽しそうでしょ?」

○○「うん!」

その時……

街の男「おっ! ミヤじゃないか。どうしたんだよ、可愛い子連れて」

ミヤ「へへっ! うらやましいだろ! それより、お前また太った?」

街の男「うるせぇな、ほっとけ」

街の女「あっミヤ王子! こっち寄ってってよー♪」

ミヤ「やあシンディ、ありがとー! でもごめん、また今度ね!」

街の人がミヤを見つけては次々に声をかけて笑いかける。

(ミヤ、人気者なんだな)

そんな笑い声が溢れる街の中で、ふと、泣き声が聞こえてきた。

その声をたどると、街の外れにある大きな木の下で、女の子が泣いていた。

ミヤ「どうしたの?」

ミヤが歩み寄り、女の子と同じ目線になるようにしゃがみ込む。

優しいミヤの声に、女の子が涙にぬれた顔を上げた。

女の子「ヒック…ッ……ネコちゃん……」

ミヤ「猫?」

女の子が指さす方を見上げると……

細い枝の上で、子猫が心細そうな鳴き声を上げていた。

ミヤ「ああ、降りられなくなっちゃったんだね。 君のお友達?」

女の子「うん……」

ミヤ「じゃあ、早く助けてあげなくっちゃね」

目に涙をためている女の子に、ミヤは笑いかけ、女の子の頭を優しく撫でた。

ミヤ「オレに任せといて!」

そう言ったかと思うと、ミヤは木の幹を身軽に登っていって……

すぐに枝までたどり着いて、子猫に手を伸ばした。

ミヤ「さぁ、もう大丈夫だよー」

けれど……

ミヤ「痛ててて……」

興奮した猫が、ミヤの腕に爪を立てた。

ミヤ「こら、暴れないで~……あっ!」

腕から逃げようとする猫を追って、ミヤがバランスを崩してしまう。

○○「ミ、ミヤ!!」

ミヤ「だーいじょうぶだよっと……!」

けれどミヤは素早く体勢を変え、猫を抱いてひらりと地面へ着地した。

ミヤ「ふ~……けど、ちょっとびっくりした」

(よ、よかった)

ミヤ「はい! 君のお友達」

女の子「ありがとう!」

女の子はミヤから子猫を受け取ると、大事そうに抱きしめる。

ミヤ「よかったね」

女の子「お兄ちゃん、ありがとう!」

満面の笑顔を浮かべた女の子は、ミヤにお礼を言って走っていった。

ふとミヤの腕を見ると、猫に引っかかれた傷ができていた。

○○「ミヤ、腕に傷が! 手当しないと……」

赤くにじんだ線状の傷が、痛々しい。

ミヤ「ああ、こんなの大丈夫だよ」

○○「駄目だよ、ちゃんと手当しなきゃ」

持っていたハンカチを、ミヤの傷にそっと当てると……

ミヤ「○○ちゃんは、優しいなあ」

太陽のような笑顔を見せて、ミヤが私の頭にそっと手を伸ばして、小さな女の子にするように、そっと私の頭を撫でた。

ミヤ「心配してくれて、ありがと」

(大きくて温かい手……)

なんだか恥ずかしくなって、そっと彼を見上げると……

優しく笑う彼の瞳に、頬を染めた私が映し出されていた…-。

<<第1話||第3話>>