第4話 怪盗たるもの

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『誰かに怪盗役を頼み、己は探偵となり怪盗を捕まえるための罠を張れ』……

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怪盗役をお願いされた私は、アルマリと一緒に彼の部屋へやってきた。

アルマリ「あれを盗んでもらおうかな」

アルマリの視線が飾り棚に置かれている青い宝石へと注がれる。

アルマリ「君は部屋の外で待っていてくれる?僕は盗られないように隠して、罠を張るから」

アルマリの提案に、私は……

○○「わかった……頑張るね!」

アルマリ「うん。僕も一生懸命、罠を考えないと……」

アルマリが、ふわりと笑みを浮かべる。

そうして、私は、彼が罠を仕掛ける間、部屋の外で待つことになった…-。

……

アルマリ「○○、もういいよ」

アルマリに呼ばれて、部屋の中へと足を踏み入れる。

けれど……

(隠れて……ない?)

部屋に入ってすぐ、机の上に置いてある宝石が目に留まった。

宝石は窓から差し込む日差しを受け、まるで盗んでみろと言わんばかりに輝いている。

アルマリ「それじゃあ、盗んでみてくれる?」

○○「あっ、うん……」

(もしかしたら、こうやって油断させる作戦なのかも?)

辺りに注意しながら、ゆっくりと机に近づく。

すると……

アルマリ「……あっ!」

○○「えっ……?」

アルマリの視線が私の足元に注がれている。

その視線を追うと、そこには紙テープが張られていて……

テープの端には鈴のようなものがついている。

(もしかして、これが罠……?)

アルマリ「……気づかれちゃったみたいだね。 それに触れたら、君の負けってことにしようと思うんだけど……いいかな?」

○○「うん。大丈夫だよ」

私は再び、そろそろと歩みを進める。

アルマリ「さっきは失敗しちゃったけど、次こそは…-。 ……あっ!」

(ここにも紙テープが……)

それから何度も同じようなことを繰り返し…-。

……

アルマリ「……負けちゃったね」

私の手の中できらきらと輝いている宝石を見て、アルマリは深いため息を吐く。

アルマリ「やっぱり……僕、こういうの苦手だな……」

落ち込むアルマリを見ていると、心がちくりと痛くなった。

(でも……)

○○「私はアルマリのそういうところ、とっても素敵だと思うよ」

アルマリ「え……?」

○○「純粋だから人を騙せない……。 そんな、綺麗な心を持つアルマリを……私はとっても素敵だなって思うから」

(怪盗になるために頑張っているのに、こんなことを言ったら駄目かもしれないけど……)

(アルマリには笑っていてほしい)

アルマリ「○○……」

アルマリは驚いたように目を見開いていた。

けれどそれも束の間、彼は優しく微笑み……

アルマリ「……君は、すごいね。 僕の……まで簡単に盗んじゃうんだから」

小さくつぶやかれたアルマリの言葉は、上手く聞き取れない。

○○「アルマリ、今なんて言ったの? ごめんね。上手く聞き取れなくて……」

アルマリ「えっ?ううん……なんでもないよ」

アルマリがごにょごにょと言葉を濁す。

よく見ると、金色の髪から覗く耳は、少し赤く染まっていた…-。

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