第3話 修行、開始!

アルマリから怪盗になるための修行を手伝ってほしいと言われ、少しでも彼の力になれたらと引き受けたのだけれど…-。

(具体的に何をすればいいんだろう?)

○○「トルマリから借りた漫画には、どんなことが書いてあるの?」

アルマリ「○○も読んでみて」

アルマリから漫画を受け取り、読んでみると……

そこにはヒーローと争いながらも、次第に惹かれていくヒロインの姿が描かれていた。

(……あくまで、恋愛がメインみたい)

(ちょっと言い辛いけど……)

○○「恋愛がメインのお話みたいだし、これを参考にするのは難しいかも……?」

アルマリ「そっか……僕もそうかなって思ってたんだ」

○○「他に参考になりそうな本とかはないかな?」

アルマリ「あ……それなら、トトリさんから借りた本があるよ」

本棚から一冊の本を引き抜くと、アルマリは私に手渡した。

(『怪盗入門講座』……?)

本の帯には大きな字で『この一冊で怪盗のすべてがわかる!』と書かれている。

(……トトリさん、こんな本をどこで見つけてきたんだろう?)

アルマリ「この通りにやったら怪盗になれるのかな?」

本をじっと見た私は…-。

(この本で怪盗になれるどうかはわからないけど、他に方法なんて思いつかないし……)

○○「とりあえず、本の通り、やってみようか」

アルマリ「そうだね……トトリさんがおすすめする本だし、きっとすごく参考になると思う」

トトリさんから借りた本を、私とアルマリは肩を並べて覗き込む。

アルマリ「えっと……『怪盗の心得その一』」

○○「『怪盗は泥棒にあらず。いつ何時も華麗に盗み出すべし』」

アルマリ「『そのためには夜闇の中を華麗に飛び回るための身体能力を培え』 ……これって具体的には何をすればいいのかな?」

私とアルマリはページをめくる。

そこには……

○○「……幅跳び?」

アルマリ「え……」

修行の第一歩は、幅跳びを練習するという非常に地味なもので、私とアルマリは、思わず顔を見合わせたのだった…-。

……

私たちは戸惑いながらも、幅跳びの練習をするために中庭に移動した。

アルマリ「それじゃあ、やってみるね」

○○「うん……頑張ってね!」

(だけど、アルマリって運動は得意なのかな……?)

アルマリ「いくよ……」

少し心配に思いながら見守っていると、アルマリは少し離れた場所からこちらに駆けてくる。

そして、勢いよく飛び上がると…-。

○○「わぁ……!」

私の心配をよそにアルマリは綺麗な弧を描いて無事に着地をする。

○○「アルマリ、すごいね……!」

いとも簡単に課題をこなしたことに驚きつつ、私はアルマリの元に駆け寄った。

アルマリ「うん。最近、たくさん鍛えてるから……」

(アルマリが、鍛えてる……?)

○○「どうして?」

アルマリ「いつまでも周りの皆や、君に頼りっぱなしじゃいけないし……。 ……君を守れるような人になりたいから」

○○「えっ……」

彼の輝く瞳が、柔らかく細められる。

(きっと、アルマリの言葉にタイはないはずだけど……)

(でも、そんなことを思ってくれてるなんて嬉しいな)

胸の高鳴りと共に、頬がじわりと熱くなっていく。

○○「あ、ありがとう……」

頬の熱を誤魔化すように、私は目を逸らしてうつむいたのだった。

……

順調に心得その一をこなし、私達は次の修行に移ることにした。

アルマリ「『怪盗の心得その二』」

○○「『怪盗たる者、敵の心理や手口を把握すべし』……?」

アルマリ「怪盗の敵は……探偵だよね?」

興味が掻き立てられる内容に、自然とページをめくる手が早まる。

○○「『誰かに怪盗役を頼み、己は探偵となり怪盗を捕まえるための罠を張れ』」

アルマリ「『それを通して探偵の心を理解しろ』 探偵の心……か」

アルマリは顎に手をあてて、考え込むような素振りを見せ……

そんな彼を、私は静かに見守っていたのだった…-。

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