第2話 大寒波の影響で

中庭に残っている雪が、陽の光を反射している。

桜花「ありがたい寒さです」

窓の外の光景を眺めながら、桜花さんはまぶしそうにそっと目を細めた。

桜花「今年は随分凍哉が頑張ってくれているみたいですからね」

○○「凍哉さんというと・・・・」

桜花「ええ、冬の季節を司る王子です。今は彼の季節ですから」

桜花さんは咳を一つすると、小さく体を震わせた。

(桜花さん、顔色が少し悪いみたい)

○○「桜花さん、大丈夫ですか?」

桜花「・・・・ええ、私なら・・・・大丈夫ですよ」

途切れ途切れになる言葉から、彼が無理をしていることがわかる。

桜花さんは椅子に腰をかけて、息を整える。

桜花「心配をおかけして申し訳ありません。 春の開花の儀式に向けて、私も頑張らなくてはと思うのですが・・・・。 なかなか体調も万全にならず、情けないものです」

開花の儀式は、毎年、蓬菜だけでなく承和の国でも行われている。

春を呼び起こす担い手として、桜花さんは重要な役割を務めなければいけなかった。

桜花「承知へと行くためにも、少し体を鍛えないといけませんね」

桜花さんは、眉を寄せて苦しげな表情をする。

○○「桜花さん・・・・」

(桜花さんの体調が、少しでもよくなればいいんだけど・・・・私にいったい、何ができるんだろう)

一心に考えていると、桜花さんが心配そうな顔で覗き込んでくる。

桜花「随分難しい顔をされて・・・・あなたには笑顔の方が似合いますよ。 私のせいで悩ませてしまって・・・・申し訳ありません」

○○「い、いえ・・・・!少しでも桜花さんのお役に立てたらと思ったんですが・・・・」

桜花さんはふっと笑みを浮かべる。

桜花「あなたは傍にいてくださるだけでいいのです」

優しい眼差しで見つめられ、私は身動きが取れなくなってしまう。

??「桜花様!」

その時、静寂を破るように、廊下から桜花さんを呼ぶ声がした。

(なんだろう?)

桜花「どうかしましたか?」

桜花さんが促すと、従者さんが嬉々とした顔で入ってくる。

従者「桜花様、失礼いたします。実は、ある噂を聞きつけまして」

桜花「噂?」

従者「山筋を一つ越えた渓谷に、温泉が湧いているらしいのですが。 そこで足湯をすると、とても体によいというのです。どんな病も治るとかなんとか・・・・」

(体にいい温泉・・・・)

(ここに行けば、桜花さんの体調がよくなるかもしれない)

従者「吹き荒んでいた雪も止んだことですし、行ってみてはいかがでしょう・・・・!」

桜花「しかし・・・・」

目を輝かせる従者さんに、桜花さんは言葉を濁す。

従者「あ・・・・失礼しました。出過ぎた真似を・・・・しかし、ずっとお部屋でお元気がなく、心配で・・・・」

桜花「いや、気を使わせてしまったね。ありがとう」

(もしかして・・・・ずっと部屋に閉じこもりがちだったのかな?)

○○「桜花さん、その場所へ行きませんか?」

桜花「○○さん・・・・」

○○「私も、一緒に行きますから」

桜花さんは、驚いたように私をしばらく見つめていたけれど・・・・

桜花「・・・・そうですね」

やがて嬉しそうに微笑みながら、そっと頷いてくれた・・・・ー。

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