第1話 開花の時

四季の国・蓬莱の 凪の月・・・・ー。

春の訪れを感じる頃・・・・ー。

(まだ、雪が残っている・・・・)

そろそろ開花の季節を迎えると聞いていたけれど、雪解けまではまだ遠いようで・・・・

私は白い息を吐きながら、青く澄んだ空を眺めた。

(今年の桜は、まだ見ることができないのかな)

ふと、桜花さんを思い浮かべる。

薄紅色の花弁が舞う中で優雅に舞うその姿は、

いつ思い出しても胸の奥が春のように暖かくなっていく。

(桜花さん・・・・大丈夫かな)

長引く冬の寒さに、彼の儚げな表情が重なる。

私は、体調を崩しているという彼のお見舞いに城へ向かっていた。

城に着くと、従者さんが桜花さんの部屋まで案内をしてくれた。

彼は、部屋で体を休めているらしい。

(あまり、よくないのかな・・・・)

(お見舞いに来て、迷惑だったかもしれない・・・・)

一抹の不安を抱えつつ、部屋へ向かうと・・・・

桜花「○○さん、来てくださったのですか」

花を思わせる美しい笑みを浮かべながら、桜花さんは私を向かえ入れてくれた。

○○「桜花さん、お久しぶりです」

桜花「あなたにお会いできることを楽しみにしておりました」

○○「桜花さんがお元気そうでよかったです」

桜花「私の体調を気にして来てくださるなんて・・・・相変わらずお優しいですね」

○○「はい・・・・寒い日々が続いているので。 ご迷惑ではありませんでしたか?」

桜花「何を・・・・あなたは、私の呪縛を解き放ってくださった方だというのに。 迷惑なはずが、ないでしょう?」

○○「・・・・っ」

桜花さんは、着物の袖を口にあててにっこりと微笑む。

桜花さんは、ずっと『恋をすると死んでしまう』という呪いを、呪縛師からかけられていたけれど・・・・

桜花「あなたのおかげです」

○○「そんなことは・・・・」

悲しい想いが生んだその呪いは、今はもう彼を苦しめることはなかった。

優雅な所作にドキドキと鳴る胸を誤魔化すように、私は言葉を探してしまう。

○○「今年は開花が遅れているみたいですね」

桜花「開花が遅れているのは、例年にない大寒波の影響です。 しかし、冬が寒いほど桜は綺麗に咲くのですよ」

私は、今年の桜を想像してみる。

(きっと、すごく綺麗なんだろうな・・・・)

窓の外の銀世界の向こうに、薄紅色の花が見えるような気がした・・・・ー。

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