第2話 彼を追いかけて

メディさんを追いかけ、私は森までやってきた。

枯れた木々は影を落とし、辺りが一層寂しく見える。

(メディさん、どこまで行くんだろう……?)

前を歩くメディさんは、時々立ち止まっては、足元を注意深く見つめている。

(ここって、皆と歩いた道だよね)

(何か探しているみたいに見えるけど……)

メディさんが、何かを拾い上げた。

(何だろう?)

影になってよく見えないけれど、それは何か細い棒のように見えた。

よく見ようと、つい前のめりになったその時…-。

〇〇「っ……!」

足元の枝を踏んでしまい、渇いた音が辺りに響いた。

メディ「誰だい!?」

〇〇「あ……」

隠れることもできず、私はメディさんに見つかってしまった。

彼の瞳が、驚きに見開かれていく。

メディ「ハニー!? どうしてここに……」

〇〇「あの……メディさんが出かけていくのを見て、気になって……」

メディ「……」

(ついてきちゃいけなかったのかな……)

不安になりながら、次の言葉を探していると…-。

メディ「ハニー、そんなにボクが恋しかったのかな?」

〇〇「え……?」

メディさんは困ったように眉を下げ、私に向かって微笑んだ。

メディ「きっとボクとハニーは離れられない運命なんだよ! だからハニーはボクを追わずにいられなかった!」

〇〇「えっと……」

メディ「そういうことにしておこう」

〇〇「メディさん……」

(庇ってくれてるの……?)

〇〇「ありがとうございます」

メディ「そうだね。この芸術的に美しい運命の糸というものに感謝しようじゃないか! そしてそれを、ボクは絵に描こう!」

熱く語ると、メディさんは私ににっこりと笑いかけた。

(ついてきたこと、許してくれるんだ……)

彼の優しい気遣いが嬉しくて、胸が温かくなっていく。

〇〇「あの……メディさんは、どうしてここへ?」

メディ「ああ、ちょっと落し物があってね。後でこっそり探しに来るつもりだったんだ。 何となく、この辺りかなと思っていたら、ボクの勘は正しかったよ! ほら」

メディさんは手に持っていた物を見せてくれた。

〇〇「筆……?」

それは柄の部分がつぎ足しされた筆だった。

(とても使い込まれているみたい……)

メディ「……たいした物ではないんだけどね。 崩壊に巻き込まれなくてよかったよ」

そう言って、メディさんは筆を大事そうに握りしめた。

(ここまでわざわざ探しに来たのに、たいした物じゃない?)

彼の言葉に少し違和感を覚える。

メディ「それはさておき、どうしたものかな……」

〇〇「え?」

メディ「どうやら少し、空にヴェールがかかるようだ」

〇〇「あ……」

メディさんに言われて、私は空を見上げる。

いつの間にか、赤く染まっていた空は藍色に変わり始めていた。

メディ「そうだね……ここからなら、皆で泊まった小屋が近いはずだよ。 太陽が起きるまで、しばらくそこで眠ろうか」

〇〇「大丈夫です、街まで戻って…-」

メディ「いけないよハニー。暗い夜道、キミに万が一のことがあってはいけない。 このボクがついていれば……と言いたいところだが、暗くなれば来た道も定かではないからね」

メディさんは私に手を差し出した。

(またメディさんに気を使わせているんじゃ……)

〇〇「メディさん、私……」

メディ「おおっと、もしかして執事くんが心配しているかもしれない! その時は、彼にとびっきりの絵をお詫びとしてプレゼントしよう」

(やっぱり、メディさんはとても優しい人だな……)

それ以上何も言えずに、私は彼の手を取った。

彼の大きな手から、優しさが伝わってくるような気がした…-。

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