第2話 冷徹な声

それから・・・・ー。

小犬の飼い主も無事に見つかって、真琴君の家に向かっていた。

真琴「かわいかったなー!あの子犬。僕も飼いたくなっちゃった」

真琴君の可愛い声が、耳に心地よく響く。

○〇「そうだね」

真琴「あっでも駄目だな。うちにはジャンがいるから」

○○「ジャン?」

真琴「うん!○○にも紹介するよ!楽しみにしてて!」

そんなやり取りをしながら、街を進んでいくと・・・・ー。

警備員「悪いね、今日ここは通行止めなんだ」

私達が進もうとしていた先に、警察のような制服を着た大柄の男性が立ちはだかった。

警備員「もうすぐ大統領の凱旋パレードが始まるからね。知らなかったかい?」

(大統領・・・・?)

真琴「この国は、5年前に王制から大統領制へ移行したんだよ」

私の疑問に答えるように、真琴君が説明を始める。

真琴「僕の父さんは前の国王。だから僕も今は街で暮らしてるんだ」

(そんなことが・・・・あったんだ)

やがて、街の人の大きな歓声と共に、パレードが開始された。

リムジンのような豪華な車の窓から、ごてごてと着飾った男性が聴衆に手を振っている。

(あれが・・・・大統領?)

○○「真琴君、あの人が・・・・?」

真琴君に尋ねようと振り返ると・・・・ー。

○○「・・・・!」

彼を見て、私は凍りついてしまう。

真琴「・・・・」

パレードを見つめる彼の瞳は、恐ろしいほどに冷たく歪んでいた・・・・

真琴「さ、行こっか!」

○○「う・・・・うん・・・・」

人々の歓声を背に、私達はその場を離れた。

真琴「この道を抜けたら、僕の家の前まで出るから!」

パレードを迂回した道を歩きながら、私はさっきの真琴君の冷たい瞳を思い出していた。

ーーーーー

真琴「この国は、5年前に王制から大統領制へ移行したんだよ。 僕の父さんは前の国王。だから僕は今も街で暮らしてるんだ」

ーーーーー

(何か・・・・あったのかな)

○○「真琴君、もしかして大統領と、何かあった・・・・?」

真琴「・・・・知りたい?」

真琴君が、私に微笑みかけたその時・・・・

○○「・・・・!」

路地裏から、黒いスーツを着た男達が複数人現れ、私達を取り囲んだ。

真琴「・・・・」

うろたえる私に構わず、真琴君は男達に笑顔を向ける。

(・・・・!)

男達は、いきなり私達に襲いかかってきて・・・・ー。

○○「真琴君・・・・っ」

思わず声を上げると、真琴君は私の手をそっと握ってくれた。

真琴「・・・・」

真琴君が目を細めて男達を見回すと、

突然、男達は地面にはいつくばるように倒れ込んだ。

(え・・・・?)

男「う・・・・」

苦しそうに呻く男に真琴君が近づき、そして・・・・ー。

真琴「本当に、何度やられたらわかるの?学習しないなあ・・・・」

倒れている男の髪を掴み、顔を持ちあげる。

○○「ま・・・・真琴君?」

真琴「・・・・ごめんごめん○○、さ、行こう!」

男を放し、真琴君は何もなかったかのようにさっさと歩き出してしまう。

(何が、どうなってるの・・・・?)

突然の出来事に、私は戸惑うことしかできない。

真琴君が男に向けた冷徹な声が、私の耳に張りついていた・・・・ー。

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