第1話 温度の通わぬ会話

罪過の国・ヴォタリア 奏の月…-。

国王「トロイメアの姫よ。よくぞ参られた」

私は国王様の御前で丁寧に膝を折る。

〇〇「本日はお招きいただき、ありがとうございます」

国王「先だっては、息子のラスが世話になった。改めて礼を言う」

国王様の背後に控えていたラスさんが、私に向かって柔らかく微笑みかける。

ラス「〇〇、久しぶりだね。ずっとキミに会いたかった」

〇〇「はい、私もお会いできるのを楽しみにしていました」

(ヴォタリアについた時は、この国の雰囲気に戸惑ってしまったけど……)

ここヴォタリアでは、昼間でも霧が足元を覆い……

薄い雲に覆われた寒々しい空を、コウモリ達が飛び交っていた。

(噂には聞いていたけど)

(このヴォタリアが、罪を犯した人達が辿りつく最後の流刑地……)

国王「……見ての通り、ここは殺風景な国ではあるが。 〇〇姫を、国賓として丁重にもてなそう」

国王様に礼を返すと、ラスさんが自然な仕草で私の背中に手を添えた。

ラス「挨拶は充分だ。さあ、キミの部屋に案内するよ」

国王「ラス……くれぐれも失礼のないように」

短い沈黙の後、国王様がラスさんに低い声で言い添える。

ラス「ええ……わかっていますよ、父さん」

国王様とラスさんは、互いに目を合わせることもなく……

温度の通わぬような、短いやり取りを交わした。

(この二人……?)

ラス「さあ、行こうか」

何事もなかったかのように微笑むと、ラスさんは再び私を促した…-。

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