第2話 かわいいより

桃の花が咲く街を、カイネ君と並んで歩く…-。

あちこちにある桃の飾りが、街を賑やかに彩っていた。

〇〇「街もお祭りの雰囲気なんだね」

カイネ「桃花祭を盛り上げるために、皆が張り切って飾りつけてくれるんだ」

〇〇「カイネ君が着ている服も、桃花祭のための特別なものなの?」

カイネ「うん! 桃花祭の時は皆こうやって、この国の伝統衣装を着るんだよ」

ピンク色の詰襟ジャケット、七分丈のパンツには細かい刺繍がされている。

鮮やかなその色合いは、彼をいつも以上に明るく華やかに見せていた。

〇〇「カイネ君、似合ってるよ」

カイネ「〇〇さんにそう言ってもらえると嬉しいな」

カイネ君は、ほんのりと赤くなった頬を人差し指で掻いた。

〇〇「すごくかわいいと思う」

彼の姿を見ながら素直な気持ちを伝えると、カイネ君は拗ねたように口をすぼめてしまう。

カイネ「うーん、やっぱりかわいいかぁ……」

(あ……男の子にかわいいなんて言ったら失礼だったかな)

〇〇「ごめんね」

カイネ「……ううん。姉さん達にも同じように言われちゃったし」

(カイネ君……)

〇〇「でも、すごくよく似合ってるよ?」

カイネ「違うんだ……ボクはただ……。 キミには格好いいって……思ってもらいたいだけ」

(えっ……)

不意を打つ言葉に驚いていると、カイネ君はいつものように明るい笑顔で私を見つめる。

カイネ「ボク、桃花の国の王子としてお祝いの宴の最初に挨拶をするんだ。 その時は、絶対にキミに格好いい姿を見せるから!」

意気込んだ様子でそう言われ、温かな気持ちになる。

〇〇「うん、楽しみにしてるね」

カイネ「〇〇さんがいるから……気合が入っちゃうな」

(やっぱり、カイネ君かわいいな)

(……なんて思ったことは、絶対に言えないけど)

微笑ましい気持ちで彼を見つめていると……

カイネ「そうだ! 〇〇さん!一緒に街を歩こう!」

〇〇「あっ……」

答える前に、カイネ君は私の手を引いて歩き出す。

カイネ「ボクと、デートしよう?」

(デート……)

手のひらから、彼の温もりが伝わってくる…-。

桃の花びらが風に舞う街の中……

ほのかに込み上げてくる甘酸っぱい感情に驚きながらも、私はどこか心地よさも感じていた…-。

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