第1話 思いがけないお誘い

天狐の国・伊呂具 蒼の月…―。

晴れ渡る空から、細く穏やかな雨が降っている…―。

(綺麗……)

ふわりと雨の香りが漂う美しい中庭を、従者さんの案内で歩く。

ここは招待を受けなければ決して入ることのできない、とても神聖な国で……

私はこの国の王子である煌牙様からお茶会に招待されていた。

(毒薬の国の皆も招かれてるって聞いているけど……)

毒薬の国の王子達も縁あって、このお茶会に招待を受けているらしい。

(フォーマ、もう来てるかな)

彼との再会を楽しみに思っていた、その時……

○○「……あ」

向こうから毒薬の国・ファルテートの王子フォーマが、いつものように気難しい表情で歩いて来る。

再会を心待ちにしていた私は、思わず笑みをこぼした。

○○「フォーマ、こんにちは」

フォーマ「○○……」

美しい柄の着物と深い藍色が印象的な羽織をまとった彼は、眼鏡のフレームを指で押し上げると柔らかく微笑んだ。

けれどすぐに笑顔は消え、彼はじっと私を見つめる。

○○「どうしたの?」

フォーマ「その格好……似合っているな」

さらりと告げられて、私の胸は小さな音を立てた。

眼鏡の奥で揺れる黄色い瞳が、いつもよりも艶っぽく輝いて見える。

○○「フォーマも素敵だよ」

フォーマ「ああ、ありがとう」

そう答える彼の頬は、ほのかに色づいていた。

フォーマ「君も招待されていると聞いて、楽しみにしていたんだ」

(……嬉しいな)

○○「私もだよ」

フォーマは青い髪をふわりと揺らして、目を細める。

フォーマ「茶会の後は出かけよう。二人きりで」

○○「……! うん」

思いがけない彼からの誘いに、私は期待で弾む気持ちを抑えることができなかった…―。

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