第1話 突然の接触

こよみの国・九曜…-。

奏の月を目前にした頃、まだらにしか日が差しこまない深い森の中……

柔らかな草の上で、目覚めたばかりのカノトさんがゆっくりと体を起こす。

カノト「ん……?」

寝ぼけた眼差しはしっとりと濡れているようで、世界中のきらめきを集めたように照り映えている。

美しく整った顔立ちは瞬きを忘れるほど優美で、私はついうっとりと眺めてしまった。

(綺麗……)

木漏れ日を弾いてきらきらと光る彼の美しい瞳が私を捉える。

〇〇「……っ」

それだけで心臓を鷲掴みされたようになって、びくっと肩が揺れた。

カノト「……母さん?」

(え……?)

覚束ない足取りで立ち上がると、カノトさんはこちらに向かって頼りなげに歩み寄ってきた。

カノト「あ……っ」

少し大きな石に躓いて、カノトさんがよろめく。

(危ない……!)

反射的に体が動いて、カノトさんをなんとか支えた。

美しい容姿とは裏腹に、しっかりとした体つきが着物越しにも伝わってくる。

カノト「……っ」

そのとき、偶然にカノトさんの手が私の胸元に触れた。

〇〇「……!!」

けれどカノトさんの手は私の胸に触れたまま、動く気配がない。

(ど、ど、どうして?)

混乱のあまり、抵抗するのも忘れてしまって……

カノト「……聞いた通り。女の人、柔らかい……」

つぶやく言葉には好奇心だけが滲んでいて、邪さは一切感じられなかった…―。

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