第2話 頼られる存在

イリアさんに城の中を案内していただき、奥の部屋へ向かうと、そこでは王妃様が私を迎えてくださった。

イリア「母上、この方が私を眠りから目覚めさせて下さった姫です」

王妃「イリアを助けてくださり、何とお礼を申し上げればいいか」

王妃様は、私に恭しく頭を下げる。

〇〇「いえ、そんな」

王妃「イリアは、次期国王となる大事な存在。イリアがいない間、国中の灯が消えたようでした」

イリア「母上、大袈裟ですよ」

困ったように微笑んで、イリアさんは私にそっと目配せをする。

イリア「かしこまらないでくださいね、〇〇様。母は昔から心配性なんです」

彼はそう言って優しく目を細めて見せた。

けれど……

執事「いえ! 決して大げさではありません」

執事さんの言葉に、傍にいた皆さんが大きく頷く。

イリア「まいったな……」

視線を一身に受け、イリアさんが困ったように頭を掻く。

(本当にイリアさんは、皆から信頼されてるんだ)

イリアさんの整った横顔を見上げた、その時……

大臣1「イリア様、申し訳ありません。急ぎご相談したいことが……」

随分と慌てた様子で、一人の男性が近寄ってくる。

イリア「外務大臣。構いませんよ。どうしました?」

大臣1「先方が急に、例の条約に関して議論したいと言い出しまして……」

イリア「ああ、想定はしていました。準備はできていますので、私が使者を手配します」

大臣1「お手数をおかけして申し訳ございません」

その人が去ると、今度は王妃様の後ろに控えていた男性が遠慮がちに口を開く。

大臣2「あのう、イリア様。歓迎パーティのことなのですが……」

イリア「その件なら、王からの許可はもう貰っています。構わず進めてください」

大臣2「ありがとうございます!」

イリアさんは、にこやかに笑ってお礼に応える。

(皆さんが頼りにするのもわかるなあ)

優しい物腰と迷いのない返答に、思わずため息が出た。

イリア「申し訳ありません、お待たせしてしまい……」

〇〇「いえ、私のことは構わず。でも、イリアさんってすごいですね」

素直な気持ちを伝えると、イリアさんが少し頬を赤くさせた。

イリア「……そうでしょうか?」

青い瞳を瞬かせるイリアさんに、私は……

(謙虚な方だな)

肯定するように微笑むと、イリアさんの顔がますます赤くなった気がした。

イリア「あ、ありがとうございます……」

イリアさんが、赤くなった顔を隠すように片手で自分の頬を覆った。

さっきまでの凛々しい姿とは違うイリアさんの表情に、私の頬が緩む。

(なんだか、可愛い方だな)

イリア「そうだ、使者を手配しないと……」

まだ顔を赤らめながらも、彼は執事さんに指示を出す。

伸びた背筋が、とても頼もしく見える。

イリアさんと過ごすこれからの時間に、私の胸が弾み出していた…―。

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