第4話 運命の人

正午より、儀式の出席者一人一人と、

水鏡の前で、運命の人探しが行われることとなった。

アフロスの神官「……では次の方」

ある国の貴族「私が、トロイメアの姫との婚姻……それが叶えば、我が国は安泰だ!」

○○「……」

何人もの出席者が、水鏡の前で列を作り、こうして一人ずつ確かめられていく。

アフロスの神官「残念ですが、映りませんな」

○○「はい……」

ほっと息を吐き出し、その場にある石のスツールに腰かける。

アヴィ「気に入らねえな……」

ずっと付き合ってくれていたアヴィが、吐き捨てるようにつぶやいた。

○○「付き合わせて、ごめんね」

アヴィ「気にするな。けど……。 お前も断ってよかったんだぞ」

○○「うん、でも……」

運命の人探しは、参列者の方々もぜひにと希望したらしい。

また、神官から『世界の人々の祝福のため』と言われると断り難かった。

アヴィ「なんか……お前の気持ち、無視してるみたいで」

○○「アヴィ……」

眉と目の間を狭めて、アヴィが小さく言う。

アヴィなりの気遣いが胸に痛い……

(運命の人……)

(……アヴィだったらいいのに……)

アフロスの神官「次はアルストリアのアヴィ殿、でしたな」

アヴィ「……」

○○「……!」

神官の声に呼ばれ、アヴィと共に水鏡の前に立つ。

緊張に胸の奥が騒ぎ出す。

(アヴィ……)

祈るような気持ちで、水の湛えられた鏡を見つめる。

水面は波紋を描き、やがてゆっくりと静止する。

しかし、そこにアヴィの像は映っていなかった…―。

(アヴィじゃ、ない……)

自分でも驚くほどに、胸の奥が苦しくなる。

私は無意識のうちに、たまらず……

○○「アヴィ……」

アヴィ「……俺じゃないみたいだな」

抑揚のない声からは、アヴィの感情は読み取れない。

気分が落ち込んでも、静々と運命の人探しは続けられていく。

アフロスの神官「……では次の方」

??「ふっ……ようやく僕の出番か」

(あ、この人は…―)

次に私の隣に立ったのは…―。

アフロスに来たときより、私に視線を投げかけていた男だった。

その時…―。

アフロスの神官「おお……水鏡がっ!」

○○「え……?」

水鏡の水面が激しく揺れ出し、隣に立つ男の像を映し出した。

??「素晴らしい! 女神は、トロイメアの運命の相手は、この僕だと仰せだ!!」

アヴィ「……! お前は…―!」

声高に叫ぶ男の顔を見たアヴィの表情が、険しく歪められた…―。

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