第2話 楽しい予感

あちこちから、収穫祭を楽しむ街の人達の声が聞こえてくる。

ペルラさんの従者さんは、私達に気を使ってか、少し離れた場所で見守ってくれていた。

(なんだか、そんなふうに気を使われると……少しだけ恥ずかしいかも)

ペルラ「大丈夫? きみ、顔が赤いけど」

○○「……!」

不意にペルラさんに顔を覗き込まれて、さらに顔が熱くなる。

○○「な、なんでもないです……」

ペルラ「……別に、暑くはないよね? 体調でも悪い? 人が多くて、面倒な気分にはなるけど……ふぁ」

ペルラさんは、ぼんやりと周囲を眺め、あくびをする。

(意識しすぎ……かな)

そう思うとますます心が落ち着かず、私は会話を探して…―。

○○「……ペルラさん、どうして猫の仮装にしたんですか?」

ペルラ「ふぁ? んー……」

ペルラさんは、しばし考えるように天を仰ぐ。

ペルラ「猫の、仮装かあ……」

○○「え?」

何かを思いついたように、ぼそりとそうつぶやいたかと思えば…―。

ペルラ「にゃー」

○○「っ……ペルラ、さん?」

かわいらしい声でひと鳴きした後、ペルラさんはくすりと笑った。

ペルラ「どう? ぼく、猫っぽい?」

○○「えっと……はい」

突然の質問に面食らいながらも、柔らかな笑顔に心が緩む。

ペルラ「従者達に言われたんだ。 『ペルラ様には猫の衣装が似合うと思う』って。 きみもそう思う?」

珍しくおどけた様子で、手を猫のように丸くし、自分の頬をゆるりと撫でる。

(今の仕草、かわいいな)

○○「……はい! そう思います」

微笑み返すと、ペルラさんも嬉しそうにまた目を細めた。

ペルラ「外国での公務なんか、面倒だって思ってたけど……。 まあ……きみと一緒だし、いいかもね」

○○「……ペルラさん」

面倒くさがりのペルラさんが、心なしか生き生きとしている。

(嬉しいな……)

胸に広がっていく温かさを感じながら、かわいらしい猫を演じるペルラさんと二人……

(楽しいことが起こりそうな気がする)

私達は、収穫祭で賑わう街の大通りへと進むのだった…―。

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