第2話 お前はアリスだから!

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ハーツ
「だから、お前のことだろ? 昔ワンダーメアに現れた少女、アリス。 俺、小さな頃からずっと憧れてて」

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ハーツ君は女王様の元から走り出し、私を中庭の外れまで連れ出した。

◯◯「女王様、怒っていたみたいだったけど平気なの?」

ハーツ「……大丈夫! ほら、俺、思春期だし、親子関係とか、難しい時期?」

ハーツ君は誤魔化すように頭を掻くと、次の瞬間に満面の笑みを見せた。

ハーツ「それよりも本当に俺、お前に会うの楽しみだったんだ! もう、子どもの頃からアリスの話にずっと夢中で、いつか会えたらって…… ! まさか、俺を目覚めさせてくれた人がアリスだとは思わなかったけど」

ハーツ君の大きな赤い瞳は、きらきらとした輝きに満ちている。

◯◯「あの、そのことなんだけど…ー」

私は、ハーツ君に自分がアリスではなくトロイメアの姫であることを伝える。

だけど……

ハーツ「でも、そうかもしれないけど、でもアリスだから!」

◯◯「……」

(今の話、ちゃんと聞いてくれたのかな)

ハーツ「だってさ、お前は異世界から来たんだろ!? それ、アリスと一緒じゃん! それに、おっきさも伝承と一緒くらいだし! 絶対お前はアリスだって!」

ハーツ君が、身長を確かめるように私の頭にポンと手を乗せる。

(……信じ込んでる)

それから、ハーツ君はアリスという少女がどういう存在なのかを教えてくれた。

ワンダーメアの成り立ちに欠かせない、青いワンピースを着た少女、アリス……

(あの童話の『不思議の国のアリス』と、よく似てるけど……)

ハーツ「……だけど、ある日突然、アリスは皆の前で消えちゃったんだ。 ワンダーメアの住人達の心は、真っ暗闇。長い暗黒時代だったんだ! そして……今ようやく、ワンダーメアは新しいアリスを手にしたんだ! お前っていう、新しいアリスを!」

熱い視線でアリスを語るハーツ君の瞳はきらきらと輝いていて、まぶしくて……

(……違うって、言いづらい)

ハーツ「でも前のアリスがいた頃とは、このトランピアもすごく変わっちゃって……。 そうだ! アリス、今のトランピアを案内するよ、いいだろ?」

ハーツ君の誘いに、私は……

◯◯「あのね……」

(やっぱり、きちんと話そう)

ハーツ「遠慮することないって、な、行こう!」

結局、私達は二人でトランピアの城下街へと向かうことになった…ー。

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