不思議の国・ワンダーメア トランピア…ー。
(ここが、この前私が目覚めさせたハーツ君のいる国……)
王子を目覚めさせたお礼として、私は女王様にご招待を受け、トランピアを訪れていた。
大理石の回廊を歩き、王座の間へ足を踏み入れると……
ハーツ「ようやく会えた! 思った通り、マジカワイイぜ! !」
◯◯「!?」
私の顔を見るなり、ハーツ君が駆けてきて、勢い良く抱きついてくる。
ハーツ「もう一度会えるの、マジ楽しみにしてたんだよ! あの時はゆっくり話してるヒマなかったしな! な、俺のアリス!」
◯◯「え?」
(私を誰かと勘違いしてる……?)
しかしその時、王子の周りにいた人々に動揺が走った。
ハートの女王「……アリスですって?」
従者「それは……」
ハーツ「あ…ー」
動揺が広がる中、ハーツ君がしまったという顔をする。
すると…一。
ハートの女王「ハーツ、私にきちんと説明しなさい」
女王様が、錫杖をカツンと打ち鳴らした。
彼女の表情が険しくなるのを見て、ハーツ君は…ー。
ハーツ「やべー、ごめん! 俺、この子を案内しないと!」
◯◯「え、ハーツ君!?」
私の手を取るなり、ハーツ君はその場から一気に走り出した…ー。
…
……
ハーツ「は一っ……危ねえ。母上にバレるとこだった」
肩で息をしながらも、ハーツ君は楽しそうに笑っている。
ハーツ「ごめんな、アリス! でも、もう大丈夫だから!!」
◯◯「あの、アリスって……?」
ハーツ「だから、お前のことだろ? 昔ワンダーメアに現れた少女、アリス。 俺、小さな頃からずっと憧れてて」
◯◯「えっと……」
疑うことを知らない彼の笑顔は、心地よい太陽の光をいっぱいに浴びて、輝いていた…ー。