第4話 鋭さを帯びた瞳

グレイシア君の頬がうっすらと赤くなった気がしたけれど……

○○「グレイシア君?」

口をつぐむ彼の様子に、小首を傾げて覗き込む。

グレイシア「なっ、なんでもない。もう、スケートはいいだろ? 足も痛めてるし…」

○○「はい、とても楽しかったです」

グレイシア「……そうか、よかったな」

ツンと澄ました顔を逸らして、私から視線を外すグレイシア君の頬は、さらに赤く染まっていた。

その時…―。

城の使者「……様、グレイシア様! こんなところにおられた!」

○〇「……?」

グレイシア「あれは、兄さんのとこの小間使いか」

近づいてくる声に顔を上げると、城からやってきたらしい使者は、グレイシア君の前に跪いた。

二言三言、会話が交わされて…―。

グレイシア「……だからわかったって。そのうち帰るから」

グレイシア君のその言葉に、使者の方達は困ったような表情で城の方へ戻っていった。

(そういえば、グレイシア君のお兄さんって、どんな人なんだろう?)

ーーーーー

街の人々1「まあ、フロスト様の弟君だわ!」

街の人々3「ああ、これでフロスト様も喜ばれる!」

街の人々2「あんた、知らんのか! フロスト様は、この雪の国の皇太子さまだぞ!」

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(街の人達には人気があるみたいだったけど……)

○○「グレイシア君、兄さんって街の人達が言ってたフロスト様のことだよね?」

グレイシア「……ああ」

グレイシア君が、重い声でそっけなく返事をする。

(……どうしたのかな)

○○「ま……街の人達にも人気だったよね、グレイシア君のお兄さん」

グレイシア「……ああ」

話しかけるけれど、グレイシア君の表情はますます曇ってしまう。

(さっきまでは、あんなに楽しそうだったのに……)

○○「グ……グレイシア君のお兄さんに、私も会ってみたいな」

彼の気持ちを持ち上げたくて、そう言って笑いかけると……

グレイシア「……」

(あれ……?)

グレイシア君の赤い瞳が、鋭さを帯びて私に向けられていた…―。

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