第3話 ミステリアム連続失踪事件

ミステリアムの城で起きた事件……

床の人型の線と血痕を、グレアム君は真剣な顔で見下ろしている。

やがて……

グレアム「よし、この事件、俺が全面的に捜査に協力をしよう」

グレアム君がぽつりとつぶやくと、その場にいる人々が一気にどよめいた。

男性1「そ、そんな、グレアム様が自らとは……」

男性2「本当に協力していただけるのですか!?」

女性「ああ、王子が……」

(皆、グレアム君のこと、すごく頼りにしてるみたい)

するとグレアム君は、得意げな表情を浮かべながら指先で髪をいじった。

グレアム「この事件はお前達の手には負えないだろう。 となれば、王子であるこの俺が自ら指揮を執る他ない。必ず解決してやる。この、怪事件を……」

一瞬、グレアム君の視線が、私の様子をうかがうように向けられた気がした。

◯◯「グレアム君、格好いいですね」

グレアム「……! ……ん、まあな」

一瞬、グレアム君は驚いた顔になったけれど、すぐに平然と返事をした。

◯◯「でも……危険だったりしないでしょうか」

グレアム「ミステリーに危険はつきものだよ」

◯◯「でも、これは本当の事件では……」

グレアム「……この本当の事件の謎解きを手伝ってみたいと。いい心がけだ」

◯◯「え?」

グレアム「ふむ。そういうことか」

◯◯「あ、あの、グレアム君」

グレアム「……お前の言いたいことは分かっている。 この俺の助手を務めたいとは、いい心意気じゃないか」

◯◯「ええっ?」

(助手って……勝手に話が進んで……!)

グレアム「さあ、行くよ。早速、捜査開始だ」

そう言うとグレアム君は、すぐに私に背を向けて歩き出した。

◯◯「あ、あの、どこへ行くんですか?」

あまりの突飛な行動力についていけず、問いかける。

するとグレアム君はちらりと振り返って……

グレアム「……事件の匂いのする場所だ」

そう言ったのだった……

グレアム「事件の概要を……お前に話す」

◯◯「は、はい」

言われるままに、小走りでグレアム君に追いついて肩を並べる。

グレアム「事の発端は数日前。城の中から、ある人物が消えた。 だが、消えた人物が誰なのか、誰にもわからない。ただ、消えたことだけがわかっている」

◯◯「……どうして消えたってわかったんですか?」

グレアム「……」

グレアム君は大仰とも言える仕草で、頭を抱えた。

グレアム「それすらもわからない。だが、その翌日。また、一人消えた……」

◯◯「そんな……」

グレアム「そしてさっきの事件だ。何者かの血痕と倒れた痕が発見され……。 しかし、また、それが何者の血痕なのかわからずにいる」

◯◯「……すごく不思議な事件ですね」

グレアム「ああ、だからこれは、俺にしか解くことのできない謎だ。 俺のみが、解ける謎……」

グレアム君は繰り返しつぶやきながら、頭を悩ませるように眉間に皺を寄せる。

◯◯「次は……誰なんでしょうか」

グレアム「男性だ。それは決まっている。 だからお前は、何も心配せず助手に徹していれば大丈夫だ」

凛々しい顔つきで、私に振り返ったと思ったら…ー。

グレアム「何かあっても……この俺が、必ず守ってやるし……」

グレアム君の聡明そうな瞳が揺らぎ、ほんの少し頬が染まった。

(もしかして……照れてる?)

(さっきまでは、大人びた感じで話していたけれど……)

顔を赤くするグレアム君の表情には、年相応の幼さがあって……

そんな彼が、なんだか可愛く思えた…ー。

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