第1話 新進気鋭の作家

文壇の国・ミステリアム 薫の月…ー。

グレアム王子を目覚めさせた私は、来賓として文学賞の受賞パーティに呼ばれていた。

シャーロット文学賞の受賞パーティということで、会場はとても華やかな雰囲気だった。

(グレアム君は、どこかな)

談笑する人々の中から、グレアム君を探していると……

司会「それでは皆様、お時間となりましたので。 早速今回のシャーロット文学賞の受賞者、グレアム王子にご登壇いただきましょう!」

会場には、大きな拍手が鳴り響き、そして……

グレアム「……」

(グレアム君だ…… ! )

登壇したグレアム君は、平然とした様子で舞台の真ん中まで歩いた。

背筋を伸ばし颯爽と歩く姿は、壇上で強い存在感を示している。

(グレアム君、堂々としててすごいな……)

司会「グレアム王子、今回の受賞、誠におめでとうございます。 今のお気持ちを、お話しいただけますでしょうか」

グレアム「……理解されたようで光栄だ。 ……」

司会「あ、えっと、以上でしょうか?」

グレアム君は、ただ軽く頷いた。

司会「えー、ありがとうございます。今回の作品ですが、本当に巧みな構成と文章で大絶賛でしたね」

グレアム「物語はいくらでも頭の中に浮かび上がる。それを組み立てるだけだ」

司会「ほう……」

その後も盛大な授賞式は続く中、グレアム君は終始寡黙な様子で……

(グレアム君って……本当にすごい作家なんだ)

悠然と振る舞う彼の姿が、そう強く私に感じさせた…ー。

その後、式の終わったグレアム君のところへ行くと……

◯◯「おめでとうございます、グレアム君」

グレアム「お前か……よく来てくれた」

得意気な笑みを浮かべながら、グレアム君が返事をしてくれる。

◯◯「すごいですね。こんな大きな賞を取るなんて……」

すると、まだ少し幼さの残るグレアム君の顔が、かすかに綻んだ気がした。

グレアム「ああ……当たり前だよ。 この運命は既に宿命であり、当然の結果だからね。この賞は取るべくして取ったものだ」

◯◯「え……? あの、どういうことですか?」

淡々と言葉を返すグレアム君に、少し驚いて聞き返してしまう。

グレアム「……よし……完璧だ」

◯◯「え? あの……」

(今、何て……?)

グレアム「……」

けれど、グレアム君は不遜な笑みをたたえたまま、それ以上は話してくれなくて……

(不思議な人……)

結局その日は、グレアム君とそれ以上言葉を交わすことなく、

私は華やかな会場を後にしたのだった…ー。

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