第4話 レストランの入り口で

目が暗く窪んだ老執事が、私に襲いかかってくる…―。

○○「――!! ウィルさんっ!!」

とっさに、隣のウィルさんの腕に強くしがみついてしまった。

けれど…―。

○○「……」

(あれ? なんともない?)

ウィル「○○?」

落ち着いた声が聞こえ、恐る恐る顔を上げる。

○○「ウィルさん……?」

ウィル「どうしたの? この館の住人達はゲストには襲いかからないから大丈夫だよ?」

○○「え…―」

(だってさっき……)

ウィル「○○?」

ウィルさんの指が、怯える私の頬を優しく撫でる。

○○「でも……今、襲われましたよね?」

ウィル「襲われた? へえ」

頬に触れていた彼の指がやがて顎まで伝い……くいと持ち上げられる。

ウィル「……招かれざる客と、間違われたのかもね?」

○○「……っ!」

怪しい笑みが、彼の口元で弧を描く。

(嫌だ……)

背中に冷たいものが伝い、背後を振り返れば……

老執事?「……」

気味の悪い老執事はいつの間にか扉の前に控えており、私に向かって不気味な笑みを見せた。

(やっぱり怖い……)

○○「……アトラクションの一部、だったんですよね?」

ウィル「うーん、どうかなぁ……」

ウィルさんは眼鏡を上げ直しながら、意味ありげに目を細める。

ウィル「けどこれだけは言えるね。今の君の顔、サイッコーだったよ!!」

○○「え?」

ウィル「まずあの怯えた声! 歪む目元に恐怖に怯み上がる細い背中! やっぱり○○は最高の逸材だよ! カメラを回し忘れたことが惜しまれるほどにね」

まるで愛しい恋人にでも語りかけるかのような熱量で、ウィルさんは次々と言葉を並べる。

(嬉しそう……)

○○「ウィルさん……楽しそうですね」

ため息を吐きながら、私はそうつぶやいた。

ウィル「そりゃね! 最高にいい表情してくれる子を、こうして一番最初に招待できるんだから」

この上なく弾んだウィルさんの声に、重たい気持ちになってしまう。

○○「……」

ウィル「怒ってる?」

○○「いえ……」

ウィル「仕方ないなあ……」

ウィルさんの腕が、私に差し出される。

ウィル「こうしてれば怖くないだろう?」

○○「あ……」

促され、逞しい腕にそっと手を回す。

ウィル「行こうか? このレストランはまだまだ、この程度じゃないからね」

ウィルさんの瞳が暗がりを照らす灯りの中でふっと優しく揺らめいた。

けれど…―。

女の子の人形「UGAAAaaaaa―――ッ!!」

○○「――っ!!!」

エントランスからレストランホールに着くまでの間……

私は幾度となく、さまざまな仕掛けに驚かされ続けたのだった…―。

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