第4話 ディオンの闇

メイレーンさんのお宅にお邪魔している私達は、美しい刺繍が施された布の上に、隣り合って座っている。

メイレーン「ちょっと、ディオン様。そこのハーブでお茶いれて。丁寧にね」

ディオン「俺がいれるのかよ……まったく、相変わらず人使いが荒いな」

〇〇「お手伝いしましょうか」

ディオン「……いや、座ってろ」

(宮殿にいるディオンさんと、全然違う……)

思わず笑みがこぼれてしまう。

(もしかしたら、これが素顔なのかな)

メイレーンさんがキッチンから出てきて、私はあわてて笑みを押し隠した。

メイレーン「悪かったね、デートの邪魔して」

〇〇「いえ、そんな……」

(デートじゃないんだけど……何て説明したらいいのかな)

メイレーン「嬉しくてね。ディオン様が旅の踊り子以外の女といたのなんて、はじめて見たから。 それに……一人だけ連れてるなんて、アタシは目を疑ったね」

(それは私がトロイメアの姫だからだろうけど……)

(やっぱり、いつもいろんな女の人を侍らせてるんだ)

メイレーンさんの言葉は、私をなぜだか悲しい気持ちにさせる。

メイレーン「ディオン様は……私の息子が死んだのを、自分のせいだと思ってるんだよ」

〇〇「え……?」

メイレーン「あの日から……ディオン様は、身分を隠して旅の女と遊ぶばっかりで」

(あの日……?)

メイレーン「でもね。あれは、世界を巡る踊り子達から、天の国の情報を集めてるんだろうね」

〇〇「天の国の情報?」

(どういうこと……?)

ディオン「何寝ぼけたこと言ってるんだ」

お茶をのせたお盆を持って、ディオンさんが戻ってくる。

メイレーン「何だい、立ち聞きなんて行儀の悪い。 大体アンタ、いつまでもグチグチと悩んで男らしくないったらありゃしない」

ディオン「……慰めならいらない。あれは、俺のせいだったんだ」

メイレーン「誰がそんなこと言ったんだい! アタシの前に連れて来な!」

ディオン「……今日はもう帰るよ。おい、行くぞ」

ディオンさんはお茶を一気に飲み干し、勢いよく立ち上がる。

〇〇「あの、失礼します……メイレーンさん」

ディオン「いいから、早くしろ」

立ち上がる前に、私はディオンさんの入れてくれたお茶を口にする。

その温かさに、何だか少し泣きそうになった…-。

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