第4話 甘い目覚め

頬を、ひんやりとした風が気持ち良く撫でている…-。

〇〇「ん……?」

不意に気配がして、ゆっくりと目を開けると……

〇〇「っ……!」

鼻先が触れるくらいの距離で、ダルファーが私の顔を覗き込んでいた。

ダルファー「おはよ。かわいい寝顔だね」

私のすぐ目の前で、ダルファーがクスクスと笑っている。

その笑い声は、歌をうたっているように軽快に弾んでいた。

ダルファー「あ、別に何もしてないよ。これでも僕は紳士だからね。ただ、驚いてただけだよ」

〇〇「え?」

ダルファー「どこでも好きなときに寝てしまうのも自分勝手だって、叱られることが多いんだけどね。 キミは、一緒に眠ってしまうんだね……初めてのパターンだよ」

(恥ずかしい……)

ダルファー「てっきり目が覚めたら、キミも呆れていなくなっちゃってると思ってたからね」

〇〇「それは……ダルファーがあまりにも気持ちよさそうに眠っていたので。それに…-。 少し、悲しそうだったので……」

ダルファー「……かわいそうだから? 同情してくれるんだ」

そう言われると、違うような気がして首を振った。

ダルファー「同情じゃないなら……それって好意と思っていいのかな?」

無邪気に笑っていたダルファーの表情が不意に艶めいて、どきっと胸が跳ねる。

すっと、ダルファーの綺麗な手が私の頬に添えられる。

驚いて体を揺らすけれど、逃げる暇もなくダルファーの顔が近づいて……

〇〇「……っ」

淡い口づけが、頬に落ちる。

ダルファー「これは一緒にいてくれたお礼」

〇〇「お礼って……」

慌てて顔を赤くする私に、ダルファーが少しからかいを含んだ笑みを浮かべた。

ダルファー「キスしたこと? 好きになっちゃったせいだよ。好きなものって食べたくなるだろ?」

〇〇「た、食べたくなるって……食べ物とは違いますよ」

ダルファー「今の〇〇ちゃんは、リンゴみたい。それとも……うーん、サクランボかな?」

〇〇「……!」

顔が赤くなっていることを再確認して、ダルファーから顔をそらそうとするけれど、頬に添えられたままの彼の手が、それを許してくれなかった。

〇〇「ダルファー、からかわないで……」

ダルファー「駄目だった?もしかして嫌い?」

〇〇「リンゴもサクランボも好きだけど、そうじゃなくて……私は人間で、果物じゃなくて」

(私、何言ってるんだろう……)

頭にまで熱が回り、自分が何を言ってるかがわからなくなる。

ダルファー「ん?面白いこと言うね。でも、リンゴもサクランボも僕、大好きだよ。気が合うね」

〇〇「……」

イマイチズレた受け答えに、ついには言葉を返せなくなる。

でも……

(そんな顔で、好きだって言われると……)

優艶な眼差しが、私の心をとらえて離さない。

ダルファー「可愛いな。〇〇ちゃん、大好き」

呼吸するかのように自然にそう言うダルファーに、胸の奥がかすかに痛む。

(ダルファーの、この『好き』は……特別なものじゃない)

(きっと同じように、皆にも言ってる言葉……)

そう自分に言い聞かせるけれど、胸の鼓動は鳴り止んでくれそうになかった…-。

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