第3話 木陰のお昼寝

数日後…-。

城の庭を散策していると、気持ちよさそうな木陰を見つけた。

(木漏れ日が綺麗。キラキラとまぶしくて……)

引き寄せられるように木の下へ行くと、白い羽が目に入る。

(あれは……)

〇〇「……ダルファー?」

ダルファー「やあ、また会えたね」

ダルファーは木の根元に腰をおろして、休憩をとっているようだった。

まぶしそうに見上げてくる顔に、木漏れ日がきらきらと揺らめいている。

ダルファー「ここはこの庭で一番、居心地がいいところなんだよ。ここを選ぶなんてキミはセンスがいいね」

言いながら、ダルファーが手を私へと伸ばしてくれる。

あまりに自然な仕草に惹かれるようにその手を取ると、促されるように隣へと座らされた。

〇〇「おひとりなんですか?」

(前は、あんなにたくさんの女性に囲まれていたのに)

なんとなく尋ねてみると、ダルファーは静かに首を横に振った。

ダルファー「別に、誰も来ないよ。綺麗さっぱりと、皆に振られてしまったからね」

〇〇「振られた?」

驚いて声に出したけれど、失礼な気がして口を手で覆う。

でも、ダルファーは怒った様子もなく、クスリと苦笑しただけだった。

その姿がなぜだかやけに寂しそうに見えて、胸がきゅっと締め付けられる。

〇〇「大丈夫ですか?」

ダルファー「今はキミがいるからね」

ごく自然に、ダルファーが私の髪を撫でる。

その手の温度を感じ、胸の奥で小さな音が鳴った。

(私だけ、ドキドキさせられてる気がする)

ダルファー「なんかしばらくすると、皆、離れていっちゃうんだよね。 たぶん、僕に協調性がないせいだろうけど」

〇〇「協調性?」

ダルファー「うん、相手の都合をもっと考えるべきだっていつも言われる。 それに、男として最低だとも、言われるなあ」

〇〇「え……」

ダルファー「二人っきりで会いたいって子が何人かいたから、内緒で呼び出してあげたのに……怒るんだよね」

(怒る?……まさか)

〇〇「一緒に呼び出したりしてませんよね?」

ダルファー「え、呼び出したよ。順番に並ばせて、平等に二人っきりで座るようにして」

〇〇「原因は……それですね」

ダルファー「どうして?不平等はよくないよ」

ダルファーは、本気で悲しそうな顔をする。

ダルファー「僕はさ、ただ皆と仲良く一緒に過ごしたいだけなんだけど。何でだろうねえ……」

〇〇「甘えたがりなんですね」

ダルファー「ん? そうかもね。でも皆も甘えたがりだよ。お互い様じゃないかな?」

悪気のない笑顔につられて、私も微笑んだ。

〇〇「そうですね……」

ダルファー「ね、そうだよね。キミはわかってるね」

嬉しそうに邪気のない笑顔を見せられると、ほっとする。

ダルファー「まあ……人が離れていく原因は、他にもあるみたいだけどね」

聞こえるか聞こえないかくらいの声で、ダルファーはそうつぶやいた。

〇〇「え?」

ダルファー「ううん」

静かに目を閉じた後、ダルファーは私に優しく笑いかける。

ダルファー「慰めてくれて嬉しいよ。キミはまるでこの木漏れ日だね。 僕は女の子に振られると、この木陰で空を眺めながら昼寝するんだ。 ぽかぽかした気持ちになれるからね。キミも一緒に寝てみない? きっと気持ちいいよ」

ダルファーが体をずらして、木の根を枕にするように横になる。

そしてとても気持ち良さそうに目を閉じた。

〇〇「……それじゃあ」

私も隣で体を横にして、木漏れ日を見上げてから、まぶたを閉じる。

まぶた越しに見える木漏れ日がちらちらと揺れ、心地良い眠気に包まれる。

隣からは、もうダルファーの規則正しい寝息が聞こえてきた。

(ダルファー……もう寝たの?)

驚きながらも彼の寝息に合わせて呼吸をしているうちに……

わたしもゆっくりと、眠りの世界へ落ちていった…-。

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