第2話 いきなりの宴

歌うことが務めだと言うダルファーは、美しい声色の持ち主だった。

話をするうちに、その綺麗な声に思わず聴き惚れてしまっていると…-。

ダルファー「ああ、今、歌がおりてきた」

〇〇「えっ」

その言葉自体が、まるでメロディのように響く。

ダルファー「お近づきの印に、君を讃える曲を歌ってもいいかな?」

〇〇「え……私を……?」

(なんだかちょっと恥ずかしいけど……)

ダルファーの美しい声で歌われると思うと、胸がドキドキと期待を鳴らしてしまう。

〇〇「……聞いてみたいです」

ダルファー「素直でいい子だ」

するとダルファーは、真っ白な翼を広げた。

すうっと息を吸い込んだと思ったら、たちまちに透明な歌声が彼からあふれ出す。

ダルファー「♪~~」

ダルファーが紡ぎ始めた歌声は、話している時の声とは、また違う美しさだった。

(まるで……心が洗われるよう)

最後に一瞬翼が大きく広がった後、またゆっくりと背中に折りたたまれていく。

歌が終わると、一枚の羽根が私の手のひらに、ふわりと落ちてきた。

〇〇「素晴らしかったです」

ダルファー「気に入った?」

〇〇「感動しました」

ダルファー「目を潤ませて、かわいいね」

妖艶な微笑を浮かべられ、ドキドキする。

落ち着こうと、深呼吸して瞳を閉じる。

すると、さきほどのダルファーの歌声の余韻が感じられた。

(……本当に綺麗だった)

(もっと、聴きたい)

〇〇「あの、よければ他にも歌を…-」

その時…-。

いきなり扉が開いたかと思うと、大勢の女性が乱入してきた。

〇〇「え……!」

女性1「ダルファーさま~。お酒とお料理をお持ちしました」

女性2「宴にしませんか? ねっ!」

ダルファー「おやおや」

女性達は、あっという間に宴の準備を始める。

(な、何……?)

唖然としている間に、ダルファーはたくさんの女性に囲まれてしまった。

(すごい……)

思わず隅に後ずさり、私は一人その様子を眺めていた。

ダルファー「〇〇ちゃん?」

すると、そんな私に気付いたダルファーがにこりと笑って手招きをする。

ダルファー「ごめんね。圧倒されたよね。おいで」

〇〇「あの……」

ダルファー「ほら、早く」

美しい声に誘われるように、ダルファーの傍へと歩み寄った。

〇〇「あっ…-」

手をぐっと引き寄せられたかと思ったら、気付けばダルファーの膝の上に座らされていた。

(……!)

ダルファー「これでよし♪」

息がかかるほどに近づいた端正な顔に、胸が一気に高鳴り始める。

〇〇「ご、ごめんなさい!」

慌てて離れようとするけれど、強い力で抱きしめられると身動きができない。

ダルファー「いいんだよ。僕がこうしたいんだからね」

〇〇「え……」

女性3「ずる~い。ダルファー様、私も~」

少し口を尖らせる周りの女性達に、ダルファーさんはにこにこと笑うばかりだった。

ダルファー「順番、順番♪」

そして、用意されたお料理に綺麗な指を伸ばして……

ダルファー「さあ、どうぞ。これは種のない葡萄で皮ごと食べられる。とても甘くて瑞々しいよ」

細い指先で抓まれた葡萄の実が、私の唇に柔らかく押しあてられる。

少し口を開いて中にいれると、はちきれた実からの甘い汁に、舌がとろけそうになった。

ダルファー「美味しい?」

優しい手つきで髪を撫でられると、真っ赤になりながら小さく頷くしかない。

私はまるで、その実で酔ったような……ふわふわとした気分になっていた…-。

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