第5話 哀しげな瞳

ダグラス「そう、宝探し。こっちは逆に海賊っぽいだろ?」

ダグラスさんが、海上や陸上の治安維持に努める傍ら、宝探しをしていると聞き、私は瞳を輝かせる。

ダグラス「いい目をしている……。 普通、女の子はこういう話にはあまりピンとこないかと思っていたけど」

顎に手をあてながら、ダグラスさんは私に顔を近づける。

ダグラス「君には……海賊の素質があるのかな?」

〇〇「え、えっと……」

ダグラス「ごめんごめん、ちょっとからかっただけだよ」

小さく笑って、ダグラスさんはまたワインを口に含むけれど…-。

ダグラス「……」

(あれ……?)

徐々に彼の顔から笑みが消えて、寂しげに視線が落とされる。

〇〇「ダグラスさん?」

ダグラス「ああ……ごめん。ぼーっとしてた」

彼のその瞳は、どこか哀しげに見えた。

ダグラス「……気になる? 俺のこと」

〇〇「!!」

いつの間にか、彼をじっと見つめていたことに気づいて、私は慌てて視線を逸らした。

ダグラス「本当にかわいいな、君は」

一つ大きく息を吐いた後、彼は窓の向こうの海に視線を向けた。

ダグラス「実は、親父の形見を探しているんだ」

〇〇「……お父様の?」

ダグラス「ああ、お袋に……プレゼントしたくて」

瞳に寂しげな影を落としたまま、ダグラスさんは静かに話を続ける。

ダグラス「俺がまだ幼い頃、天候不良で船が難破して、荒れ狂う海に皆で投げ出されたんだ。 その時、親父は命をかけて、母と俺を守った……でも、行方はいまだにわかっていない。 きっと……この広い海のどこかに親父はいるんだ。 親父のことを思い出して時折寂しそうにしているお袋を見ると、さすがに俺も胸が苦しくなる」

(そんなことが……)

切なげに海の彼方を見つめるダグラスさんの横顔が、私の胸を締めつける。

〇〇「……」

何も言えずにいると、不意にダグラスさんの優しい微笑みが私に向けられた。

ダグラス「……〇〇、そんな顔するなよ」

〇〇「……」

ダグラス「ああ……もしかして、とんだマザコン男だって失望してるのか?」

〇〇「そんなわけないです! ダグラスさんと、お母様のことを考えていました……」

彼の胸中を思うと悲しみが込み上げてきて、唇を強く噛みしめた。

ダグラス「〇〇は優しいんだな」

見上げると、ダグラスさんの優しい眼差しが私を見下ろしていた。

ダグラス「もしも……〇〇がここにいる間に、素敵な宝石が見つかったらプレゼントするよ」

私は、彼の眼差しをじっと見つめながら、照れ隠しのように、にっこりと微笑んだ。

その時…-。

女主人「そういえば、一つ面白い情報が出たの」

空いたお皿を下げに来た女主人が、小声でダグラスさんに言葉をかける。

ダグラス「面白い情報……?」

女主人は、ダグラスさんにそっとメモを手渡した。

ダグラスさんはそのメモを確認すると、ニヤリと笑みを浮かべる。

女主人「どう?」

ダグラス「言い値で払うよ」

女主人「ありがと!」

私は何がなんだかわからずに、ただ二人のやり取りを見つめることしかできない。

すると…-。

ダグラス「〇〇、そろそろ船へ戻ろうか」

〇〇「あ……は、はいっ」

(いったい、何が書いてあったんだろう……)

私は、ダグラスさんの広い背中を見つめながら、レストランの出口へと向かうのだった…-。

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