第4話 その言葉だけで

握った手から、ウェルガーくんの温もりが伝わってくる…-。

ウェルガー「僕にも、サンタが……?」

〇〇「うん」

ウェルガーくんは、心の奥まで覗き込むかのように私を見つめる。

〇〇「さっき、ウェルガーくんも見てたでしょう? 子ども達、皆すごく幸せそうに笑ってた。 あの笑顔は、ウェルガーくんが頑張ったから……。 皆のために一生懸命頑張りぬいて、ショーを成功させたおかげでみることができたんだよ」

ウェルガー「でも、そんなのは当たり前のことだろ? 子ども達が待ってるのに、手抜きなんてできねえ。 僕は、皆を引っ張る王子なんだ」

その言葉を聞いた私は、ウェルガーくんの手に残る傷跡を労わるように、そっと撫でた。

〇〇「当たり前なんかじゃないよ。 こんなふうに傷だらけになるまで努力できるのは、すごく特別なことだから。 誰かのために、こんなに一生懸命になれるウェルガーくんがいい子じゃないなんて……私は思わないよ」

ウェルガー「〇〇……」

ウェルガーくんの表情が、少し泣きそうなものへと変わる。

そして……

ウェルガー「……へへっ」

私の肩に、こつんとウェルガーくんの額があたり……息がかかるほどの距離に胸が高鳴った。

〇〇「ウェルガーくん?」

彼の柔らかい髪が頬をくすぐり、髪の間から見える笑顔に、顔が熱くなる。

ウェルガー「その言葉だけで、もういいや。 もし本当にサンタからプレゼントがもらえなくても……お前の言葉だけで充分嬉しいしな」

顔を上げたウェルガーくんと目が合い、鼓動が一気に速まる。

見慣れたはずの笑顔なのに、私は……

輝くような瞳に見つめられ、私は恥ずかしさから目を逸らした。

すると……

ウェルガー「……ありがとな」

ウェルガーくんが、私の耳元で囁いた。

二人の白い息が、風と共に消えていく……

頭上にあった太陽は、いつの間にか傾き始めていた。

ウェルガー「ごめん。いつまでもここにいたら、冷えちまうな。 行こう」

ウェルガーくんが、私の手をそっと引いて歩き始める。

努力の跡がたくさん残る手から、優しく伝わってくる温もりを感じているうちに……

(ウェルガーくんにもクリスマスを楽しんでほしい)

そんな想いが頭に浮かぶ。

(そのために私ができることは…-)

煌びやか景色の中、クリスマスを楽しむ彼の笑顔を想像しながら、私はその笑顔を現実にするための方法を考えるのだった…-。

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