第2話 皆の笑顔

会場内は熱気に包まれ、子ども達の喜び溢れる笑顔で満たされている。

ウェルガー「皆、来てくれてありがとな! こいつらから皆にプレゼントがあるらしいんだ。帰る前に受け取ってやってくれ!」

ウェルガーくんの言葉に応えるように、猛獣達が大きく吠える。

すると辺りは盛大な拍手に包まれ……舞台に立つ演者達は、深々とお辞儀をするのだった…-。

……

サーカステントの入口では、ウェルガーくんと猛獣達が見送りのために顔を出している。

ウェルガー「気をつけて帰れよ!」

私はウェルガーくんに声をかけようと、傍に寄り……

〇〇「本当に素敵なショーだったよ。それにウェルガーくん、すごく格好よかった」

ウェルガー「へへ! 僕だってやればできるんだぜ!」

誇らしげに胸を張ったウェルガーくんの表情からは、嬉しさが溢れ出ていた。

ウェルガー「クリスマスの演出は難しかったけど、皆に喜んでもらえたみたいで本当によかった! 成功したのも、〇〇のおかげだ。ありがとな!」

そう言って大きく笑った彼の口からは、かわいい八重歯が覗いている。

〇〇「私はただ、知ってることを伝えただけだよ」

ウェルガー「そんなこと……。 ……ん?」

突然、ウェルガーくんが視線を下に向ける。

するとそこには、遠慮がちに彼の袖を小さく引っ張っている男の子がいた。

男の子「ねぇ、触ってもいい?」

男の子はおずおずと猛獣達を指差して、ウェルガーくんを見上げる。

ウェルガー「ああ、いいぞ! 大丈夫だ。全然怖くないから」

ウェルガーくんは男の子の手を取ると、一緒に猛獣の頭を撫でてあげた。

男の子「うわぁー! ふわふわ!」

猛獣に触れた途端、男の子の表情が、ぱっと明るくなる。

ウェルガー「お前達も撫でてみるか?」

その言葉に、遠くから見ていた子ども達も駆け寄ってきて猛獣達を撫で始めた。

すると猛獣達は、自ら子ども達に体を擦り寄せる。

ウェルガー「皆、すげえいい顔してるよな。 子ども達や、猛獣達……団員達も、幸せそうに笑ってた。 それに……お前も」

〇〇「え……?」

ウェルガーくんの言葉が突然私に向けられ、胸が高鳴った。

ウェルガー「客席にいるお前の笑顔を見た時、すげえ嬉しくて……。 それから……かわいいなって、ドキドキした」

〇〇「ウェルガーくん……」

(そんなふうに思ってくれてたの?)

恥ずかしそうに頬を掻くウェルガーくんを見ていると、鼓動の高鳴りが速さを増していって……

ウェルガー「……嘘じゃねえからな?」

やがてウェルガーくんの切れ長の目が、ゆっくりと私を捉える。

〇〇「うん……」

気恥ずかしい空気の中、そっと頷くと……

彼の真っ赤な瞳が、柔らかく細められたのだった…-。

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