第4話 お利口すふれ

すふれが部屋にやって来ると、一気に客間が賑やかな雰囲気へと変わった。

コロレ「すふれ、おいで」

コロレさんはすふれにそう声をかけると、立ち上がって自分の腕を低い位置に構える。

しっぽを振っていたすふれは小さく屈んだ後、ぴょんと飛び上がってコロレさんの腕を飛び越えた。

〇〇「わあ、上手……!」

賢いすふれの姿に拍手をおくると、すふれは自慢げに顎を上げてみせた。

コロレ「ふふ……サーカスでウェルガー王子が猛獣ショーをしてたでしょ? すごいなって思って、すふれと遊んでいる時に真似してみたんだ」

コロレさんはすふれを褒めるように、頭を撫でる。

〇〇「そうだったんですね。びっくりしました」

コロレ「ほら、すふれ。もう一回、〇〇さんに見せてあげて。 今度はこっちの腕だよ」

先ほどと同じようにコロレさんが合図をすると、すふれが再び軽やかに腕を飛び越える。

〇〇「すふれ、お利口だね!」

すふれ「わんわん!」

すふれも喜んでいるのか、しっぽを振っている。

コロレ「そういえば、あのショーで〇〇さんは何が一番印象に残った?」

〇〇「そうですね……」

私はクリスマス・サーカスの演目を思い返す。

〇〇「どれも楽しかったんですけど、特に子ども達が披露したマジックには驚きました」

コロレ「ああ、マジックか……あれはすごかったよね」

〇〇「はい」

コロレ「クリスマス・サーカス……か」

思い出すように遠くを眺め、コロレさんが息を吐く。

コロレ「すごく楽しかったな……あんなふうに人に感動を与えられるなんて、すごいよね。 ああやって周りの皆を喜ばせることができる人……尊敬するな。 クレトも一生懸命皆のために頑張れちゃうし……。 リカはまず自分が楽しもうとして、結果皆のことも楽しませることができるんだ」

どこかまぶしそうにチョコレートの国の他の王子のことを褒めるコロレさんに、私は……

〇〇「このケーキを見た時、かわいくておいしそうですごく感動しました」

コロレ「え……そうかな?」

コロレさんが照れたように頬を赤らめる。

〇〇「サーカスとはちょっと違うけど、コロレさんも人を喜ばせたり感動させられると思います」

コロレ「ふふっ……ありがとう。 〇〇さんも人を喜ばせるのが上手だね」

照れくさそうに言いながら、コロレさんはふわりと優しい笑みを浮かべる。

(そういうコロレさんこそ……)

そんな想いで彼を見つめると……

コロレさんはまた耳たぶに触れながら、何かを考えるように遠くを見つめるのだった…-。

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