第2話 まぶしいほどに

部屋の壁に、雪の結晶のオーナメントや、クリスマスリースがたくさん飾りつけられている…-。

〇〇「これって、全部アディエルくんが?」

彼に促されソファに腰かけながら、尋ねてみると…-。

アディエル「ああ。お前が喜ぶかなって思って。 なんたってお前は、オレの恩人だからな!」

はにかんだような笑みに、心を甘くくすぐられる。

人への恩を大切にする彼らしい言葉と心遣いを、とても温かく感じた。

〇〇「ありがとうございます。とっても嬉しいです。 それと、今回の演奏会も……」

数日前に受け取った招待状には、こう書かれていた。

『今度オレとルシアンが企画した演奏会をやるから、絶対来てくれよな!』

踊るようなその文字は、何度読み返しても笑みがこぼれてしまうほど楽しそうだった。

〇〇「二人が企画した演奏会がどんなふうになるのかなって、今からすごく楽しみで」

(まさか、ルシアンさんも参加するなんて)

かつて、誤って国の禁止区域内に足を踏み入れそうになったアディエルくんをかばってルシアンさんは、区域内の瘴気に当てられ、それ以来白かった羽が真っ黒になってしまって…-。

アディエル「ああ……駄目もとだったけど、まさかルシアンがオレの誘いを受けてくれるなんて」

〇〇「アディエルくん……」

黒い羽は、この国にとって不吉の印象だと言われている。

アディエル「あの事故があってから……ルシアンはもうずっと、この時期を一人で過ごしてきたんだ。 独りよがりだって言われても、オレは絶対、ルシアンにもクリスマスを楽しんでほしい」

アディエルくんの瞳が悲しげに揺れ、胸が切なく絞られた。

(アディエルくんも……ずっとルシアンさんのことを思いながら、この時期を過ごしてたんだろうな)

固く握りしめられた彼の手を取って、私はにっこりと笑って見せる。

〇〇「頑張ってくださいね」

アディエル「〇〇……?」

〇〇「二人の演奏会が楽しみで仕方なくて。もうずっと気持ちがうきうきしちゃってるんです。 招待してくれてありがとうございます。本当に嬉しいです」

すると、アディエルくんはどこか照れくさそうに微笑んで…-。

アディエル「へへっ。こっちこそありがとな! これまでも、いろんな奴から楽しみにしてるって言ってもらえたけどさ。 なんか、お前に言ってもらえるのが一番嬉しいよ」

〇〇「アディエルくん……」

私達はお互いに頬を染めながら、微笑み合った。

アディエル「そうだ! 聖堂の飾りつけなんだけどさ。 ちゃんとクリスマスっぽくなってるか不安で……よかったら、見に来てアドバイスとかしてくれよ!」

〇〇「もちろんいいですよ」

アディエル「やった! そう言ってくれると思ったぜ」

輝くような笑顔を私に向けた後、勢いよくソファから立ち上がる。

アディエル「よし! それじゃ早速行こうぜ!」

差し出された手を、私はしっかりと握った。

外は寒さが厳しいけれど……アディエルくんと一緒なら、そんなことはちっとも気にならなかった…-。

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