第1話 楽しそうな鼻歌

審判の国・アルビトロ 星の月…-。

いつもは荘厳な雰囲気を湛えるこの国が、今は煌びやかな装飾に彩られている。

憧憬の国・チルコの子ども達による『クリスマス・サーカス』…-。

思いがけずアルビトロで開かれることになったこのサーカスが、街に賑わいをもたらしていた。

(アディエルくん、元気かな?)

今回招待してくれた彼の、明るい笑顔と真っ白い羽を思い出しながら、従者さんに連れられて、彼の部屋へと足を進める。

従者「アディエル様、〇〇様が到着されました」

けれど、何度扉をノックしても返事はなく、代わりに…-。

アディエル「ふんふんふーん♪ ふんふんふーん♪ ふんふんふーんふふーん♪」

扉の向こうから、アディエルくんの少し調子の外れた鼻歌が聞こえてきた。

(気づいてないみたい……?)

従者「アディエル様? 失礼します」

従者さんが恐縮した様子で扉を開けると…-。

アディエル「ふんふんふ……えっ!?」

アディエルくんは私達に気づき、途端にあたふたし始めた。

アディエル「な、なんで!? 来るのって、もっと後のはずなんじゃ……」

アディエルくんはそこまで言うと、はっとした様子で壁に目をやった。

そこにかけられた時計は、まぎれもなく約束の時間ちょうどを指していて…-。

アディエル「しまった……夢中になりすぎた」

ばつが悪そうに頭を垂らすアディエルくんの手には、色とりどりのリボンや紙が握られている。

(飾りつけをしてたのかな?)

クリスマスにはしゃぐアディエルくんに、思わず顔がほころんでしまう。

〇〇「お久しぶりです、アディエルくん。元気でしたか?」

アディエル「あ、ああ。元気は元気だったけど……。 ……ごめん。今のは忘れてくれ」

(……かわいい)

真っ赤になって視線を逸らすアディエルくんに、胸がきゅんとつままれたような気持ちになった…-。

第2話>>