第3話 きみに会いたくて

いつも穏やかで物静かなフリューさんが、抱えていた不安……

それをうかがい知って、私はしばらく彼の言葉に耳を傾けていた。

フリュー「弟のルーフェンの方が、声が大きく快活なので、今回の役目を立派に果たせると思う……」

〇〇「そんな……」

次第に曇っていくフリューさんの表情を見ていると、胸が痛くなってくる。

(フリューさんのために、なにかできることがあればいいのに)

そんなことを考えていると、いつの間にか会話が途切れて、静かな沈黙が流れていた。

すると、突然フリューさんがつぶやく声が聞こえてくる。

フリュー「でも……この儀式にきみが来ると聞いて……」

〇〇「え……?」

とても小さな声だったけれど、その言葉は私の胸に不思議とはっきり響く。

フリュー「きみに会いたいと思って……ううん、ちゃんと役目は果たそうと思っているんだけど……」

〇〇「私に……?」

フリュー「うん……迷惑……かな……」

〇〇「いいえ、とんでもない。とても嬉しいです」

素直な気持ちを告げると、フリューさんは頬を赤く染めながらも、嬉しそうに微笑んだ。

(よかった、笑ってくれた)

フリューさんの笑顔を見ていたら、私も嬉しくなって頬が緩む。

フリュー「とはいえ……婚宴の儀にはたくさんの人が訪れると知っていたので、きみに会えるか心配で……。 ずっと、ずっと……きみを探していた……。 だから、今日きみを見つけたとき……必死で追いかけたんだ」

(フリューさん、私のためにそこまで……)

フリューさんの気持ちが伝わってきて、嬉しさが込み上げてくる。

フリュー「人ごみの中で、きみを見失いたくなくて……気がついたら、僕は……きみの手を掴んでいた」

〇〇「最初はびっくりしたんですけど、フリューさんだとわかって、とても嬉しかったです」

フリュー「そう……ですか。あの時、勇気を出してよかった……」

はにかむようなフリューさんの笑顔が、また私の胸を温めてくれる。

フリュー「僕……びに……いて……」

フリューさんの声がより小さくなって、私は耳を澄ませる。

フリュー「あの……僕は、きみに会うたびに驚いているんだ……」

〇〇「どうしてですか?」

フリュー「会うたびにきみは……美しくなっていくから……」

〇〇「そ、そんなこと……」

嬉しいというよりも恥ずかしい気持ちが勝ってしまい、私は思わず膝を見つめた。

だけど、隣から熱い視線を感じて、ふと顔を上げると……

フリュー「……」

フリューさんと目が合って、心臓が跳ねた。

〇〇「そんなに見つめられたら……恥ずかしいです」

フリュー「あ……ごめん……きみが隣にいるのが嬉しくて……つい」

フリューさんは、照れくさそうに視線を逸らした。

しばらくすると、フリューさんはなにか思いついたようにつぶやいた。

フリュー「あ、そだ……えっと……」

〇〇「何ですか?」

暖かな陽射しに包まれた静かな中庭で……

フリューさんとゆっくり語り合っていると、いつの間にか時が経つのを忘れてしまうのだった…-。

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