第2話 彼の不安

人ごみから抜け出し、私達は静かな中庭へとやってきた。

ベンチに腰を下ろすと、ほっと一息つく。

フリュー「これで……やっとゆっくり話が……できるね」

〇〇「はい」

和やかな雰囲気が私達をつつみ、時間がゆっくりと流れていく。

〇〇「婚宴の儀には初めて来たんですけど、本当にたくさんの人がいるんですね。 話には聞いていたんですけど、実際目にしたら少し驚きました」

フリュー「婚宴の儀は……どの国の人達も、祝福を頂きにくるものだから……。 実は僕も、婚宴の儀に来るのは初めてなんだ」

〇〇「フリューさんも初めてなんですか?」

フリュー「うん……」

〇〇「そうなんですね。初めてなのは私だけかと思っていたので、心強いです」

フリューさんも初めて訪れたと聞いて嬉しい気持ちになり、ひとりでに頬が緩む。

フリュー「僕も、きみに会えて……よかった。それに、今日のドレス……とっても素敵……です」

〇〇「え……?」

思いもよらなかった言葉を聞いて、ふと隣にいるフリューさんに視線を向けた。

すると、ちょうど目が合ってしまい、頬が熱くなっていく。

〇〇「あ、ありがとうございます」

フリュー「皆が……きみの美しさに見惚れて、振り返ってる」

〇〇「そんなこと……きっとフリューさんが素敵だからです」

恥ずかしくなってしまい、視線を逸らすけれど、フリューさんの頬もほんのり赤くなっていた。

そして、しばらく沈黙が流れた後、ぽつりとフリューさんがつぶやく。

フリュー「婚宴の儀は……各国の王族が訪れるけど、僕は出席したことがなくて。 これまでは、兄のシュティマが国を代表して出席していたから……」

〇〇「なぜずっとお兄様が出席していたんですか?」

フリュー「僕は……このような場にふさわしくないから……」

そうつぶやくと、フリューさんの表情が曇る。

フリュー「婚宴の儀では、アフロスの神官から祝福を貰うんだけど……国として宣誓をしなければならなくて……。 僕の声で……それが届くか……」

フリューさんは肩を落としながら、さらに声を小さくしてしまう。

フリュー「僕が……人前で大声を出すなんて……。 弟のルーフェンの方が、声が大きく快活なので、今回の役目を立派に果たせると思う……」

〇〇「フリューさん……」

フリューさんが大きな不安を背負っていることに気がついて、私は彼の言葉に耳を傾けたのだった…-。

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