第4話 手で包んだ星屑

それから私達は、皆の笑顔を眺めながら遊園地内を歩いていた。

星屑を宿したようなシュテルさんの髪が、優しい風の中で揺れている。

その風に乗って、男の子の大きな声が聞こえて来た。

男の子「ボクの風船~!」

澄み切った青空の中に、赤い風船が吸い込まれていくのが見える。

(あっ、手を離しちゃったんだ……)

シュテル「少しここで待っていてくれ」

シュテルさんは私に微笑みかけると、風船の元へ駆けて行った。

〇〇「シュテルさん……!」

彼の澄んだ笑顔に、微かな不安がよぎる。

(もしかして、力を使って……?)

シュテルさんは自分の命を削ることで、人の願いを叶えることができる。

彼の胸元で揺れる星屑時計を見つめながら、私は胸騒ぎを覚えたけれど…-。

男の子「わあ! お兄ちゃん、ありがとう」

シュテル「……どういたしまして」

風に吹かれて高度が下がった瞬間を逃がさず、シュテルさんは風船を取り戻していた。

シュテルさんが笑顔の男の子と別れ、私のところへ引き返してくる。

シュテル「〇〇、そんな顔しないで。僕は大丈夫だ」

シュテルさんの瞳が私を映し、あまりに綺麗に揺らめいて…-。

〇〇「私、シュテルさんが力を使うのかと思って……」

シュテル「いらない心配をかけてしまって、すまない。説明する暇がなくて」

シュテルさんが、私の手を胸元の星屑時計へと導く。

(シュテルさん……?)

彼の命を示す輝きが、手の中できらきらと煌めいていた。

シュテル「……聞いてほしいことがある」

シュテルさんは、想いを込めるように目を閉じた後……

シュテル「誰かの願いを叶えたい……そのことは、これからも変わらない。 ただ……可能な限り、自分の手で願いを叶えたい」

落ち着いた声色で、そう告げた。

〇〇「えっ……」

戸惑う私を落ち着かせるように、シュテルさんが静かに微笑む。

シュテル「僕にできることはまだ多くないけど……君を悲しませたくないから」

私をまっすぐに見つめながら、彼は力の込もった言葉を紡いだ。

〇〇「シュテルさんは、それでいいんですか……?」

シュテル「これは僕の願いでもある。いつまでも君の傍にいたいから。 ……君と出会って、僕は初めて自分自身の願いを見つけたんだ」

少しのためらいもなく、シュテルさんが頷く。

どこか甘さを含んだ響きに、私はつい先ほどの言葉を思い出した。

―――――

シュテル『僕は、絶対にどこにも行かない』

―――――

(もしかして、あの言葉も……)

シュテルさんの想いを感じ取って、どうしようもなく胸の奥が熱くなる。

私の手に彼の手が重ねられ、星屑時計を優しく包み込んだ。

シュテル「ここに残っている星屑を……大切にしていきたい」

(胸がいっぱいで、苦しい……)

シュテルさんの澄み切った青い瞳が、私と……そして未来を見つめている。

胸を締めつけるほどの幸せとシュテルさんへの想いで、私の心は満たされていた…-。

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