第2話 笑顔溢れる場所へ

太陽の輝きが、シュテルさんの白銀の髪をきらきらと光らせている……

シュテル「君はどこへ行きたい?」

手を柔らかく絡ませながら、シュテルさんが私の顔を覗き込んだ。

〇〇「二人で楽しめるところがいいです」

シュテル「……」

私の答えを聞いたシュテルさんは、形のいい眉を微かに下げ…-。

シュテル「二人で楽しむ……か。 どこがいいんだろう」

(あ……困らせちゃったかな)

真剣な表情で首を傾げるシュテルさんに、私は笑みを向ける。

〇〇「二人でいられるなら、どこでも大丈夫です」

シュテル「そういうわけにはいかない。君はさっき、二人で楽しめる場所がいいと言った。 僕も、君に楽しい時間を過ごしてほしいと思っている」

シュテルさんが目を伏せると、頬にまつ毛の影が浮かんだ。

(こんなに考えてくれるなんて……シュテルさんらしいな)

(でも……こんなふうに困った顔は、今まで見たことがなかったかも)

まだ知らなかった彼の表情と出会い、胸の奥がくすぐったくなる。

(それに、表情だけじゃなくて、声も……)

ごく小さな変化だったけれど、声も少し弾んでいるように聞こえた。

いつもとは違うシュテルさんの姿に、目を奪われたままでいると…-。

シュテル「なかなか決められなくて、すまない」

申し訳なさそうに微笑む彼に、私は首を左右に振る。

〇〇「違うんです。今日のシュテルさんはいつもより楽しそうだなと思って」

シュテル「それは……意識していなかった」

ぽつりと言葉を漏らしながら目を瞬くシュテルさんに、私は…-。

〇〇「違いましたか?」

シュテル「いや……君の言う通りだ。君は僕のことをよく見ているんだな」

明るく笑いかけた私に応えるように、シュテルさんがふっと口元を緩めた。

シュテル「僕は体が丈夫ではなかったから、あまり外出できなかった。 だから、こんなに大きな催しに参加できることが、いつも嬉しくて楽しいんだ。 ……何より、皆が笑顔でいることがいい。いつまででも見ていたくなる」

辺りを見渡した彼の青い瞳が、光を受けてきらきらと輝いている。

シュテルさんの笑顔がまぶしくて、嬉しさで胸が詰まった。

(二人で行くなら、やっぱりシュテルさんが喜んでくれるところがいいな)

次の瞬間、私はある場所に思い至って…-。

〇〇「私、行きたいところ見つかりました」

シュテル「そうか、教えてほしい」

〇〇「シュテルさんと、遊園地に行きたいです」

賑やかな声と明るい笑顔が溢れる光景を思うと、自然と頬がほころぶ。

シュテル「遊園地……」

意外だったのか、彼は澄んだ瞳を数度瞬かせるけれど……

シュテル「ああ。楽しそうだな」

私の願いが聞こえたのか……ふっと笑みをこぼした後、優しく目を細めた。

〇〇「たくさん人がいて、賑やかだと思います」

シュテル「じゃあ、はぐれないようにしないと」

しっかりと繋がれたシュテルさんの手は、普段よりほんのりと温かい。

(シュテルさんの手、いつもなら冷たいのに……)

彼の高揚した気持ちが、触れたところから伝わってくる。

私はそのことを嬉しく思いながら、繋いだ手に知らず力を込めるのだった…-。

<<第1話||第3話>>