第2話 侵入

雷さんの誘いを受け承和の国へ来たところ、賊が現れたと城に留まることになった・・・-。

滞在用に案内された客間は、広く豪華な座敷で、一人で過ごしていると寂しいくらいだった。

(街は、どんな状況なんだろう)

(雷さん達に何事もなければいいけど・・・・・・)

雷さんは出かけたきりだし、城内も慌しい雰囲気だ。

外の様子が気になって、襖を開いて廊下へ出てみると・・・・・・

○○「っ・・・・・・!?」

首筋にひたと冷たく鋭利なものが押し当てられた。

??「静かに。貴様、雷の女だな?」

一瞬のうちに、私は背後から誰かに捕らえられてしまった。

(な、何が起こっているの・・・・・・!?)

間者「一緒に来い」

○○「嫌・・・・・・っ!」

強引に連れ去られそうになった時・・・・・・

雷「何者だ」

(雷さん!?)

雷さんは声と同時に、私を連れ去ろうとする男の首元へ刀を押し当てていた。

間者「い、いつの間に」

雷「間者にしては間抜けだ。 そのように隙だらけで、よく我が城へ忍び込めたものだな」

間者「ひっ・・・・・・」

鋭い瞳がいっそう強く猛々しく、男を射すくめた。

腹の底から響くような低い声に、私まで背筋が凍るようだった。

雷「刀を引け。我が城でこれ以上の暴挙は、許さん。 命が惜しくば・・・・・・」

私の首に当てられていた刃先が、ぶるぶると震えている。

雷「去れ。さもないと・・・・・・」

間者「わ、わかったから斬らないでくれっ!」

悲鳴のような声を上げて、男は私を解放し、後ずさった。

そして・・・・・・

雷「行ったか」

男は足をもつれさせながら、一目散に逃げて行った。

雷「忍(しのび)。追え」

すぐに雷さんが、ちらりと天井を見上げて命じる。

雷「無事か」

雷さんがこちらを見る。

その瞳は男を射すくめた名残を残し、獲物を仕留める猛獣のように鋭い光を放っていた。

○○「はい。あ、あの、ありがとうございます」

声を震わせながらもお礼を言うと・・・・・・

雷「我が城で拉致などされては困る」

雷さんはため息を吐きながらも、少しだけ微笑んでくれた。

雷「・・・・・・」

不意に。雷さんが何の前触れもなく、私の首筋に触れた。

突然近づいた距離と、指先の感触に、頬が熱を持つ。

(な、何・・・・・・?)

雷「わずかに、傷がついている」

○○「え・・・・・・?」

(気づかなかった・・・・・・)

雷さんが、眉間に皺を寄せて小さくつぶやいた。

雷「手当てをさせよう。すまなかった」

○○「あ・・・・・・」

ゆっくりと、雷さんの大きな手が離れていく。

頬だけでなく、触れられた箇所も熱く熱を持ったようだった。

雷「城内の警備を強化する必要がありそうだ。 先ほどの男は、じき捕まるだろう」

独り言のようにつぶやく雷さんの横顔は、とても勇ましく頼もしく見えた・・・-。

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