第4話 高貴、ということ

カップルは金の砂を前に、薄ら笑いを浮かべてそれを受け取る。

そして逃げるようにそそくさとその場を後にした。

アザリー「やれやれ……」

カップルの背を見送りながら、アザリーさんが大きくため息を吐いた。

アザリー「……〇〇。やっぱりティアラに相応しいのは君だよ」

〇〇「えっ?」

アザリー「あのバカップルに何か言い返そうとしただろう? 君は心も綺麗だ。やっぱり僕は見る目があるな」

アザリーさんはそう言った後、屈託なく笑う。

すると……

男2「あ、あの、本当にありがとうございました」

突き飛ばされたカップルが、アザリーさんに向けて頭を下げる。

アザリー「礼には及ばない。当然のことをしたまでだ」

男2「どれだけ嬉しかったか。何かお礼をさせてください」

アザリー「む、そうか? ならば……おお、そうだ! いつか僕と〇〇を、君達のパン屋に招待してもらおうか」

アザリーさんは私の肩に手を置きながら、カップル達に期待の眼差しを向ける。

女2「え?それはもちろん構いませんが……」

アザリー「おお、そうか! では楽しみにしているぞ」

そう言ってアザリーさんは満面の笑みを浮かべる。

そして……

アザリー「ああ、腹が減った。何か食べなきゃ空腹で倒れそうだ。 〇〇、戻って再び食事にするぞ」

〇〇「えっ?ま、またですか?」

アザリー「そうだ。食い物の話をしていたら腹が減った。 というわけで、僕達はここで失礼する」

男2「えっ?あ……はい。本当にありがとうございます!」

再び深く頭を下げるカップルに、アザリーさんは屈託のない笑顔を向ける。

どこまでも大らかな彼の姿に、私の胸は小さく高鳴ったのだった…-。

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